何事もない一日をすごした家族達が、それぞれの幸せに見合った日常を確認するために帰っていく。明日も同じ一日がやってくると信じて疑わない無邪気さと、こんな幸せがいつまでも続くわけもないことに気付きながら、全てを曖昧なままに折り畳んで、そっと胸の内ポケットに納める分別。 それぞれの家族にそれぞれの暮らしがあり、夫婦には二人の間の秘め事としてのSEX。片隅の幸せと片隅のSEX。子供たちの寝静まった夜・・・密やかなくり返しがまた今夜も続きますよう、そんな二人の後ろ姿を見送った私の傍らにも、いつも見慣れたあなたが。 群衆の中にあっていつも想うのは、おびただしい人と同じ数だけあるおびただしい人生。それぞれの喜びや悲しみ、苦痛や快感の数を数える度に私は、そのあまりの膨大さに言葉を失う。毎夜浪費される人生のくり返しに、はたして意味はあるのかと、存在しない神に祈る、私の徒労のような人生。
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