合唱団たちばな

第2回 演奏会


1980年11月5日に行なった「第2回演奏会」のプログラムを紹介します。

ごあいさつ
 本日はお忙しいところ、合唱団「たちばな」の第2回演奏会においでくださいまして、まことにありがとうございます。
 私たち、合唱団「たちばな」は結成以来まだ3年という若い合唱団です。高校時代のコーラス仲間が大学の合唱団とは違うものを求めて集まったのが一昨年春。ようやく合唱団として体をなすようになったのは、昨年の春でした。そして、その年の秋の強引とも思われた第1回演奏会は、予想以上の成功をおさめることができました。その後、私たち合唱団も皆さまの御指導のうちに着実にその一歩一歩を進め、ここに第2回の演奏会を開くに至りました。
 一人一人はみな顔が違い、その考え方もちがいます。けれども歌っている時の心は一つ − 各人の個性を大切にしながらも、それを一つの大きなコーラスの輪の中に包み、さらにその輪を拡げていきたい − そういう願いを持って、私たちは今日まで練習を重ねてまいりました。歌と仲間を愛することだけがとりえの私たちです。本日の演奏でその一端でも感じていただければ幸いに思います。
 それでは、未熟ではありますが私たちの日頃の練習の成果を最後までごゆっくりお聞きください。
 最後になりましたが、本日の演奏会にあたり、御尽力いただきました皆様には心から御礼申し上げます。
団 員 一 同


プログラム
■第1部
オペラ合唱曲
カヴァレリア・ルスティカーナより
  開幕の合唱

イル・トロヴァトーレ
より
  アンヴィル・コーラス
指 揮


指 揮


ピアノ
松島  豊


辻  暁夫


岸本 賀代
■第2部
W.バード
三声のためのミサ曲
指 揮岡本 俊久
■第3部
混声合唱組曲 光る砂漠より
1.再 会
3.早 春
5.ほたるは星になった
6.落 石
7.秋の午後
8.さびしい道
9.ふるさと
作 詩
作 曲
指 揮
ピアノ
矢澤  宰
萩原 英彦
岡本 俊久
岸本 賀代
■第4部
山口百恵ヒットナンバー
編  曲
指  揮
ピ ア ノ
ドラムス
金川 明裕
岡本 俊久
岸本 賀代
三沢 成樹
プレイバック Part2
作 詞
作 曲
阿木 燿子
宇崎 竜童
メドレー 青い果実
 禁じられた遊び
 ひと夏の経験
作 詞
作 曲
千家 和也
都倉 俊一
夢先案内人
作 詞
作 曲
阿木 燿子
宇崎 竜童
秋  桜
作 詞
作 曲
さだまさし
いい日旅立ち
作 詞
作 曲
谷村 新司
しなやかに歌って
作 詞
作 曲
阿木 燿子
宇崎 竜童



曲目紹介
●バード三声ミサ
 英国エリザベス朝最大の作曲家であるが、生涯について詳しいことは知られていない。リンカンシャーの出身で、ダリスに学んだと言われる。創作活動は、教会音楽。世俗的合唱曲、ヴィオールのための室内楽、鍵盤楽器音楽など当時の音楽のあらゆる分野におよぶ。そのいずれにおいても個性的なすぐれた作品を残しているが、合唱音楽では、独特のリズム感を生かした卓越した対位法の技巧が示されている。
(中西)


●光る砂漠
 この作品は、矢澤宰の遺稿詩集「光る砂漠」より選んだ、9編の詩をもとに完成されたものであり、1971年日本合唱協会により放送初演され、昭和46年度芸術祭優秀賞を受賞したものである。
 私達はだれしも、心の中に、渇き傷つきやすい地帯 − 砂漠をもっている。この詩人は、幼い頃、病に冒され、以来ずっと病床にあった。その中において、光りを求める心には、鮮烈なものがあったのであろう。それが全曲を通して、いろいろな形で表現されている。まず、曲は、想い出と憧憬をたたえて、夢のような女声合唱に導き出される。そして、詩人と作曲者が心の眼で見た情景の中でうたわれる。第3曲の「ああ土の上をころげまわりたい」というフレーズ、これは、真実、心の叫びではないだろうか。また、第5曲における天の星と地のほたる、この高きものを思う心をピアノは何という音のきらめきで表していることか。ほたるは、高みにある星の群れに向かうのである。さらに、第6曲では、躍動するものの中に炎のような光を想い、第7曲では、母への思慕としてやさしい光を見る。そして第8曲。これは凄絶な曲である。「だれもよりそうて来てくれそうにないこの道/でもやっぱりこの道を行きたい」このぎりぎりの状態にまで追いつめられながら、なおも光を求め続けるひたむきな心を、ひたすらにこの道を行こうとする者を、作曲者は何とあたたかくいたわり深い音楽で、包みこんでいることであろう。そして再び、間奏に第1曲の冒頭のモチーフを呼び起し、みつめ合う心と心が自然の中で混り合い、溶け合うことを暗示している。
 この曲集を歌う時、私は心の底から震えがおこってくるのを、抑えることができない。

ふるさとは
ただ静かにその懐に
わたしを連れこんだ
雲でもなく幻でもなく
生きた眼と心をもって
わたしははいっていった
………
(山際)


たちばなのあゆみ
1978.4 国立高校音楽部卒業生を中心に発足。練習場所も定まらず、出席者も10人前後という中でかろうじて合唱という形態を保ち、無伴奏曲などを少しずつ手がける。
  .8 武蔵野青年の家にて、はじめての合宿。
1979.1 人員増加のための作戦会議がしばしば開かれる。
  .4 合唱団の名称が「たちばな」と決まる。岡本俊久先輩を指揮者に迎える。練習場所が国立和光保育園に定まり今までの放浪生活にピリオド。
  .11 第一回演奏会。
・“おてわんみそのうた”(三善晃)
・“白い木馬”(ブッシュ孝子、萩原英彦)
・アニメ主題歌より宇宙戦艦ヤマトなど
  .12 武蔵野合唱団のクリスマスコンサートに参加。
1980.6 コーロ・ファミリエの春のコンサートに賛助出演。
  .8 新潟県苗場で合宿。
  .11 第2回演奏会。



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