合唱団たちばな

第6回 演奏会


1984年11月19日に行なった「第6回演奏会」のプログラムを紹介します。

ごあいさつ
 本日はお忙しい中、私達合唱団たちばなの演奏会に、ようこそおいでくださいました。
 早いもので、私達の合唱団も今年で満六歳になりました。幼稚園から小学校へ進級した私達も、歌に、より一層の磨きをかけ、美しさを増し、皆様の前で歌う楽しさを御披露できることを、また、舞台の上からではございますが、第一回演奏会の時から続けておいでくださっている皆様、本日はじめておいでくださった皆様とお逢いできましたことを、私達団員の何よりの喜びと深く感謝いたしております。
 今宵もまた、冷え込むようですが、本日の演奏会で、私達と同様、胸にほんの一握のぬくもりを持ってこの会場を出ることができます様、私達も期待しております。
 これからも私達は歌ごころを深く求め、より良いハーモニーを生み出すことを期待しながら合唱活動を行って参りたいと思っております。今後ともより一層のご声援と御指導をお願い申し上げます。


プログラム
混声合唱組曲「千曲川の水上を戀ふる歌」
 T 水 上
 U 若き日
 V 落石に搏たれしもの
 W 牧歌を偲ぶ
 X 水上は母のふところ
作 詩
作 曲
指 揮
薮田 義雄
小山 章三
秋吉  亮
むかし語りのための音楽「つつじの乙女」
 T 祭
 U 邂 逅
 V 山 路
 W 愛
 X 子守歌
 Y 烏
 Z 呻 き
 [ 破 局
 \ 鎮 魂
作 詩
作 曲
指 揮
ピアノ
語 り
稲垣 勇一
三木  稔
岡本 俊久
米良 賀代
有山 光子
MESSE D DUR
 T KYRIE
 U GLORIA
 V CREDO
 W SANCTUS
 X BENEDICTUS
 Y AGNUS DEI
作  曲
指  揮
オルガン
ソプラノ
ア ル ト
テノール
バ  ス
ANTNIN DVORAK
岡本 俊久
米良 賀代
佐竹 由美
木村 圭子
小宮 一浩
菅野 宏昭



曲目紹介
千曲川の水上を戀ふる歌
  1. 水上:「あまぎらふ甲武信ヶ岳」、この山は文字通り、甲州、武州、信州の国境。そして甲州、武州に落ちた水は富士川、荒川へ、信州に落ちた水は千曲川へとなるのです。
  2. 若き日:甲武信の山道の薄氷(=過去?)を踏む。はりはりと音がする。
  3. 落石に搏たれしもの:「落石注意!」の標識、山道でよくみかけますが、本当は「落石覚悟!」なのですよね。
  4. 牧歌を偲ぶ:「佐久、望月」この夏、ここら辺をドライブしたのですが、すがすがしかったなあ。
  5. 水上は母のふところ:さあ私のそしてあなたの「水上」をもとめてLet's Go!
    (秋吉)

つつじの乙女
信州上田から松代に抜ける一本の道がある。
1000mを越える山を5つもめぐるこの道は、今日でも交通の難所だ。ことに冬は知る人ぞ知る難儀な道だ。
昔、この道を夜な夜な走った娘がいた。
両手に米をにぎりしめて…。愛する若者への想い、憧れ、暗い山路を通う恐れをにぎりしめた手の米にたくして…。

民話は語る  二人の愛を
民話は語る  村人の嫉みを
民話は語る  若者の葛藤を
  そして、赤いつつじの伝説を…

今は冬
外には吹きすさぶ吹雪の音
こずえを渡る 白い嵐
いろりにはほだが燃える
その火が、過ぎ去りし時の代にあなたを誘う
ゆらめく 炎 その炎の中から一人の老婆が語りかける

さあ、もっと火のそばに寄れ
ばばが話してくれるに
それは祭りの終ったあとのことだった…


ミサ ニ長調  作品86     ドヴォルザーク
 《ミサ ニ長調》は1887年、ドヴォルザークの46歳のときにオルガン伴奏の曲として作曲され、5年後オーケストラ伴奏(オルガンをふくむ)に書きかえられた作品で、ドヴォルザークの宗教的作品中〈レクイエム〉と〈スターバト・マーテル〉(哀しみの聖母)に次ぐ重要作とみとめられています。
 この《ミサ ニ長調》は友人のヨセフ・フラーヴカ(チェコ科学芸術アカデミーの創立者)からの注文で、1887年3月26日から4月14日までの19日間にいっきに作曲されました。
 ドヴォルザークはこの曲の作曲中、ゆたかな自然にかこまれたヴィソカーの別荘から友人のひとりにあてて「私はいま新しいミサの作曲に取りかかっています。自然の神聖な美しさに賛嘆しています。」と報告し、また依頼者のフラーヴカには、次のように伝えました。「この曲は、偉大な神にたいする信仰と希望と愛、と題してもいいでしょう。永遠なる者の栄光と、我々の芸術の名誉のために、この作品を書くことができることを、私は心から感謝しています。私が深く敬虔であることに、驚かないでください。信心深い芸術家でないと、このような種類の曲は書けません。バッハやベートーヴェンやラファエルその他の巨匠が、実例をもって、私のこの考えを支持しています。」
 初演は1887年9月11日、フラーヴカの邸宅の礼拝堂の献堂式にさいして、ドヴォルザーク自身の指揮のもとにオルガン伴奏で演奏されました。声楽部はS.A.T.B.のソロと混声合唱で、カトリック教会のミサ通常文にしたがっています。
  1. キリエ:「自然の神聖な美しさ」に賛嘆しながら作曲されたこのミサは、〈キリエ〉の冒頭から、ボヘミアの森の草原の中にいるような気分に包まれています。
  2. グローリア:3部からなり、「主の大いなる栄光のゆえに感謝したてまつる」の合唱にはじまる静かな中間部、やがて「主のみ聖なり」で第1部の輝かしいしらべにもどり、ポリフォニックな進行をみせて、「アーメン」で結ばれます。
  3. クレド:全曲中もっとも長大な楽章で、3つの部分で構成されています。第1部は優雅なワルツのようなメロディーを歌う独唱にはじまって、次にソロとコーラスの応唱になります。ドヴォルザークのおだやかな、しかし深い信仰が、よく示されている部分です。やがて「十字架につけられ」の劇的な合唱が起こり、その激烈な感情表現が、これをかこむ中間部の前後の部分と対照されます。この楽章にも、第3部に対位法的な処理が示されています。
  4. サンクトゥス:ごく短い楽章で、合唱が明るく力強く歌い、〈クレド〉の高揚した気分を持続します。
  5. ベネディクトゥス:オルガンの前奏で静かに開始されます。瞑想的な性格が支配的ですが、「天のいと高きところに ホサンナ」で突如として高らかに歓喜をぶちまけます。
  6. アニュス・デイ:全曲中もっとも愛らしく魅力的な楽章です。テノールの独唱による8小節の主題が他の声部の独唱に歌いつがれながらゆっくりとフーガ風に進行し、しだいに感情的に激しますが、最後はほとんど囁くように「平安を」と歌って、信仰と希望と愛のミサを静かに、深い感動をのこして終結します。
    (川上)



合唱団たちばな
「たちばな」……@国立市を本拠地とする合唱団。その声は、周囲20キロの街を一瞬にして廃墟とする。構造は四部分に分れ、音波発生機関のソプラノ、音量増幅を受け持つアルト、エネルギー源のベース、そして少ないながらも頭脳の働きを果すテノール(「ウソだ!」他パートの声)、これらが無雑作に発する音は言うまでもなく破壊力絶大である。
A狂気。狂気の集団。要注意人物の集合体。
『現代用語の基礎知識』より



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