合唱団たちばな

第12回 演奏会


1995年9月30日に行なった「第12回演奏会」のプログラムを紹介します。

ごあいさつ
 本日はご来場いただき、まことにありがとうございます。
 図々しくも、わが「たちばな」の演奏会も第12回を迎えることとなりました。
「たちばな」の特色は、その声の大きさにあります。この人数で伴奏のピアノをフルオープンにする合唱団はおそらく数少ないでしょう。これは、小学校の先生に「大きな声で歌いましょう」といわれた教えを、いまだに忠実に守っている素直なよい子たちだからでありまして……
 閑話休題、それでは本日の演奏を始めましょう。
 細かいところには目をつぶり、大まかなところは大目に見て、広い心で最後までごゆっくりご覧くださいますようお願いいたします。


プログラム
1st Stage …… 韓国の歌
 T.故郷の春(韓国語・日本語)
 U.船頭の歌(韓国語)
 V.愛(韓国語)
 W.洪蘭坡童謡メドレー(日本語)
作 曲
構成・編曲
指 揮
ピアノ
洪  蘭坡
岩河 智子(W)
岡本 俊久
米良 賀代
2nd Stage …… 混声合唱とピアノのためのバラード「コタンの歌」(抜粋)
 T.船漕ぎ歌(チポ・ハウ)
 W.アツシの歌
 X.臼搗き歌(イユタ・ウポポ)
 Y.ムックリの歌
 Z.パナンペ・ペナンペのリムセ(輪舞)
作 詞
作 曲
指 揮
ピアノ
和田 徹三
湯山  昭
秋吉  亮
米良 賀代
3rd Stage …… 混声合唱組曲「幻の村」
 T.幻の村
 U.譚
 V.見る
 W.海
作 詞
作 曲
指 揮
ピアノ
谷川俊太郎
遠藤 雅夫
岡本 俊久
米良 賀代
4th Stage …… 「想いだしておくれ」〜宮崎 駿スクリーンテーマ〜
 T.となりのトトロ(「となりのトトロ」より)
 U.魔法のぬくもり(「魔女の宅急便」より)
 V.君をのせて(「天空の城ラピュタ」より)
 W.アジアのこの街で(「平成狸合戦ぽんぽこ」より)
 X.時には昔の話を(「紅の豚」より)
 Y.やさしさに包まれたなら(「魔女の宅急便」より)
編 曲
指 揮
ピアノ
シンセサイザー
金川 明裕
岡本 俊久
米良 賀代
福澤 秀元



曲目紹介
韓国の歌
 洪蘭坡は韓国を代表する作曲家であり、その多くの歌曲が老若男女を問わず愛唱されている。「故郷の春」(コヒャゲボム)は花が咲き鳥が鳴く故郷の春を素朴な旋律で歌い、日本の「春の小川」を思わせる。「船頭の歌」(サゴゲノン)は月を迎えに行く船の船頭がぎっちらぎっちら船を漕いで行く男気の溢れる曲である。「愛」(サラン)は、燃えて燃え尽きて灰になるほどに人を愛するその激情を歌う。デュエットの部分では、中途半端に愛するのならば、はじめから愛さないでという思いを吐露する。
 「韓国の子供の歌」は、洪蘭坡の童謡のメドレーで、11曲から成る。最後の「子守唄」では思わず知らずのうちに眠りに誘いこまれる。
(秋吉英理子)


コタンの歌
 高校生のころから、一度は演奏したいとその機会を待ち望んでいた「コタン(アイヌ語で村落の意)の歌」。本来ならば「合唱団たちばな」の倍以上の人数で歌う曲ですが、「たちばな」でやるならパワーのある今しかありません!
 今日は全8曲のうち、急緩急緩急の順序に並べた5曲(T,W,X,Y,Z)を聴いていただきます。
W「アツシの歌」アツシとはアイヌ語で樹皮からとった糸の織物のこと。そのアツシを織る女たちの物語。
Y「ムックリの歌」ムックリとはアイヌの口琴。
Z「パナンペ・ペナンペのリムセ」パナンペは川下、ペナンペは川上、リムセは輪舞のこと。二つの村落が一緒に輪舞する。
(秋吉 亮)


幻の村
 混声合唱組曲「幻の村」は、1984年に「陸の陰画」というタイトルで、日本フィルハーモニー協会合唱団により初演されました。昨年「NS-Quattro」第二回演奏会にて合唱団「たちばな」が改題改訂版を演奏いたしましたが、今回はさらに改訂を加えられたものをお聴きいただくこととなりました。
T.「幻の村」は何処にあるとも知れない理想郷であり平和で完成された理想的な世界への憧憬を、村祭りのリズムと素朴な旋律に乗せて歌います。
U.「譚」は時間と空間を超越したイメージの拡がりを、野性的な力強い響きと幻想的な深い音の対比の中に表現した作品。
V.「見る」は、人間の「見る(=知る)」ことへの貪欲なほどの欲求、言い替えれば科学(=文明)への盲目的な信仰にたいしてその限界を皮肉をこめて詞った詩と感じられる。むしろ「見る(=知る)」ことがつきつけてくる人間の本質・矛盾・原罪にわれわれ自身が耐えられるだろうか。
W.「海」は、文化と文明の淵源、生活の糧と希望。限りない影響を人間に与えながら、それ自体は万古の昔から変化せず、陸上の生活を生み出していく“陸の陰画”。その懐の深さ、温かさを豊かな響きで表現している。
(秦 伸介)


想いだしておくれ
 私達が子供の頃、アニメーションは子供のためのものでしかありませんでした。しかし、宮崎駿氏の、特に「風の谷のナウシカ」以降の作品には文芸作品のような味わいがあり、そのヒューマニズムや郷愁にひかれる大人も多く、その意味でそれらの作品が、アニメーションを大人にも「解放」したといえます。
 中年の域に一歩(又は、二歩、三歩)踏み込んだわが団員にとって今もなお新鮮な懐かしさをもって迫ってくる曲を同氏の作品からピックアップし皆さんにお届します。それぞれの“あのころ”を「想いだして」ください。
(秦 伸介)




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