合唱団たちばな

第16回 演奏会


2006年1月14日に行なった「第16回演奏会」のプログラムを紹介します。

ごあいさつ
 合唱団たちばな 第16回演奏会にようこそおいでくださいました。
 今回は、日本の戦後音楽を代表する武満徹、現代日本音楽の旗手遠藤雅夫、20世紀のフランス音楽を代表するモーリス・デュリュフレという3人の偉大な作曲家の合唱曲を演奏するという多彩なプログラムとなりました。
 それぞれの曲に、団員それぞれの思いを乗せて、皆様にお届けいたします。
 ぜひ最後までお楽しみください。


♪♪♪ プログラム ♪♪♪
1st Stage …… 混声合唱のための『うた』より
 
 T 小さな空
 U さくら
 V ○と△の歌
 W 死んだ男の残したものは
 X 島へ
作 曲
作 詩




指 揮
武満  徹
武満  徹
日本古謡
武満  徹
谷川俊太郎
井沢  満
秋吉  亮
2nd Stage …… A.プーシキンの詩による三章(委嘱作品)
 T 冬の朝
 U めざめ
 V 夢見る人
作 曲
作 詩
訳 詩
指 揮
ピアノ
遠藤 雅夫
A.プーシキン
金子 幸彦
岡本 俊久
米良 賀代
3rd Stage …… REQUIEM op.9

 T Introit
 U Kyrie
 V Domine Jesu Christe
 W Sanctus
 X Pie Jesu
 Y Agnus Dei
 Z Lux aeterna
 [ Libera me
 \ In Paradisum
作 曲
指 揮
オルガン
M.DURUFLE
岡本 俊久
小林 英之



曲目紹介
混声合唱のための『うた』
 この【混声合唱のためのうた】は、作曲家 武満 徹氏自身が作曲した曲の中から、合唱用に編曲し直した小曲集です。テレビや映画の挿入歌として作られたもの、反安保集会のために作曲されたものなど、それぞれの曲に様々な誕生の背景があるようです。作曲者・作詞者の当時の思いの全てをうかがい知ることは難しいですが、個人的に今回のステージでお送りする5曲からは、受け取るイメージは違えど、様々な『幸せのあり方』をみることができるのではないかと思います。
 歌詞が伝える言葉には、「見上げれば空があること」「春に桜を愛でられること」「地球が丸いこと」など、私たちの生活の中で『当たり前のこと』と思われていることも多くあります。しかし『当たり前』と思えるということは、そんな日常に慣れているからに他ならないのであって、【死んだ男の残したものは】の歌詞を読み、歌えば、その『当たり前』の日常を生きられることがどんなに幸せなことであるかを思い知らされます。
 曲調も歌詞の内容も多様な5曲ですから、皆様に伝わるものも様々でしょう。願わくばこのステージが、皆様のささやかな幸せにつながるひと時になりますように。
<水野>


A.プーシキンの詩による三章(委嘱作品)
 プーシキン(1799〜1837)は、ロシア中流貴族の家庭に生まれ、幼少期から文芸に非凡な才能を顕し、妻の愛人との決闘で亡くなるまでのわずか38年足らずの間に、国民的詩人・作家としての名声を確立しました。彼の作品のうち『ボリス・ゴドゥノフ』『エヴゲーニィ・オネーギン』『スペードの女王』などはチャイコフスキーらにより、オペラの原作として取り上げられ、今日世界中で上演されています。
 今回の詩のうち第1曲の「冬の朝」は28歳の時に、第2曲「めざめ」、第3曲「夢見る人」は16〜17歳の学生時代に創作されました。いずれの詩も情景を描きながら、作者の多感な青年期の心理が巧みに投影されています。
 曲は、冒頭のピアノ前奏からロシアの厳しい冬の情景を描き出します。第2曲の並行5度進行が夢と現実の行き来を表すような特徴的な余韻を残し、終曲では各声部が旋律を絡めあわせながら物語を進め、最後に祈りに似た静謐な世界に到達します。
 今回は、特に終曲がより凝縮され、印象深くなった改訂版でお届けします。
<櫻井>


REQUIEM op.9
 モーリス・デュリュフレ(1902〜1986)は、パリ音楽院で作曲とオルガンを学び、その後はオルガニスト、パリ音楽院教授、作曲家として活躍しました。
 本日演奏するレクイエム<死者の霊を供養するためのミサの一種>は、1947年に作曲され、亡くなった彼の父親に捧げられた作品と言われています。本来のグレゴリオ聖歌に基いて作曲されていますが、先輩フォーレのレクイエムにも大いに影響を受けた作品とも言われています。例えば、続唱の【怒りの日 Dies irae】を省くことで死への恐怖を抑え、赦祷式の聖歌【私を解放してください Libera me】と【天国へ In Paradisum】を加えている点などが挙げられます。
 全曲は次の9章から構成されています:
1−入祭唱
2−キリエ−主よ あわれんでください
3−奉納唱
4−サンクトゥス−聖なるかな
5−ピエ・イエズ−いつくしみ深き主 イエスよ
6−アニュス・デイ−神の小羊
7−聖体拝領唱
8−リベラ・メ−私を解放してください
9−イン・パラディズム−天国へ
<安井>


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