合唱団たちばな

第21回 演奏会


2018年5月27日に行なった「第21回演奏会」のプログラムを紹介します。

ごあいさつ
 本日はお忙しい中、合唱団たちばな第21回演奏会にご来場いただき、誠にありがとうございます。
 合唱団たちばな は、 1978 年 4 月に発足、おかげをもちまして本年、創立 40 周年という記念すべき年を迎えることができました。
 この40 年を振り返ってみると、合唱団発足時には団員は大学生が中心でしたが、今や還暦を迎えた、あるいは近づいてきた(いわゆるアラ還の)社会人中心の合唱団になってきています。気がつくと、団員の子供たちが合唱団発足時の団員と同年配あるいはそれ以上の年齢になってきており、感慨深いものがあります。この間、岡本先生には 1 回も欠けることなく、毎回指揮をお願いしております。
 本日の演奏では、思い出深い「水のいのち」をはじめとして、初心に帰り、心を込めて精一杯歌わせていただきます。
 合唱団たちばなが、今後も活動を継続し、創立 50 周年を迎えることができますように、皆様のご支援を引き続きよろしくお願いいたします。


♪♪♪ プログラム ♪♪♪
1st Stage …… 混声合唱組曲 「遠くへ」
 1 ふるさとの星
 2 くり返す
 3 にわ
 4 遠くへ
作 曲:
作 詩:

指 揮:
ピアノ:
上田 真樹
谷川俊太郎

秋吉  亮
米良 賀代
2nd Stage …… 無伴奏混声合唱のための アヴェ・マリア

            無伴奏混声合唱のための 聖母マリアのアンティフォナ
 1 Alma Redemptoris Mater
 2 Ave Regina caelorum
 3 Regina caeli
 4 Salve Regina
作 曲:

指 揮:
大竹 くみ

岡本 俊久
3rd Stage …… 混声合唱組曲 「水のいのち」

 1 雨
 2 水たまり
 3 川
 4 海
 5 海よ
作 曲:
作 詩:

指 揮:
ピアノ:
田 三郎
野喜久雄

岡本 俊久
米良 賀代
4th Stage …… オリンピックの足音が聴こえる! 〜札幌からたどる歴代オリンピック曲集〜
 1 虹と雪のバラード
 2 今、咲き誇る花たちよ
 3 誓い
 4 風が吹いている
 5 栄光の架橋



作詞:河邨文一郎・
作詞・作曲:
作詞・作曲:
作詞・作曲:
作詞・作曲:

指 揮:
ピアノ:
作曲:村井 邦彦
小渕健太郎
小林 建樹
水野 良樹
北川 悠仁

岡本 俊久
米良 賀代



曲目紹介
混声合唱組曲 遠くへ
1.ふるさとの星、2.くり返す
 合唱団たちばなの、5年前の演奏会で、私は「信じる」(松下耕作曲2007年出版)を指揮しています。作詞は今回の「遠くへ」と同じ谷川俊太郎。1曲目が「ふるさとの星」、2曲目が「くり返す」であることも同じ※。しかし二つを比較してみようとは思いません。あくまでも谷川俊太郎×上田真樹の時間を過ごさせていただきましょう。
※:「ふるさとの星」は、上田真樹、松下耕のほか、信長貴富(月・星・地球)、平吉毅州(空に小鳥がいなくなった日)、一柳慧(ふるさとの星)、川崎絵都夫(ふるさとの星)、三善晃(宇宙への手紙)、外山雄三(空に小鳥がいなくなった日)、指方浩(大地の歌)、早川和子(ふるさとの星)などが作曲している。
ちなみに「くり返す」は、池辺晋一郎(魂のいちばんおいしいところ)も作曲している。
3.にわ、4.遠くへ
 鎌倉の鶴岡八幡宮には、樹齢1千年と言われた大銀杏があり、そのシンボルとなっています。2010年、根元から倒れてしまいましたが、その後、折れた根元から出た蘖(ひこばえ。若芽のこと)が、成長を続けています。
 私ごとで恐縮ですが、私の父は、その銀杏が世代を超えて生き続ける姿を、趣味の漢文の、生前最後の作品で、「その蘖はまた千年生き続ける」と詠み、息子として深く感じるものがありました。
 今、ここには肉体がなく、しかし存在を感じさせるもの。肉体が過去にはあった、逆に将来肉体を得ることになる、あるいは過去にも未来にも肉体をまとうことがない、しかしそこにあることを感じさせる存在。決して行きつくことができないところにある存在。人間の価値基準では計り知れないような存在。そのようなものを、この後半の2曲は表している、と感じています。
(秋吉 亮)

無伴奏混声合唱のための アヴェ・マリア、聖母マリアのアンティフォナ
 聖母マリアを讃える聖歌である「アヴェ・マリア」は、古来より数多くの作曲家によって曲がつけられており、一度も耳にしたことが無い方は、いないであろう。とはいえ、その歌詞を覚えているという方もおそらくはいないであろう。本日の演奏では、キリスト教の大切なラテン語単語が詰め込まれている、その歌詞をお伝えすることが出来れば幸いである。
 次のアンティフォナであるが、耳慣れない方も多いであろう。「ミサ曲」なら、ご存知の皆さんも多いであろうし、通常文をある程度記憶しておられる方もいると思う。キリスト教において、聖体拝領の際に歌われるものである。一方、「アンティフォナ」の方は、聖務日課という毎日の祈りの中で歌われる聖歌である。特に、その日の結びの祈り、寝る前の祈りとして、本日お届けする4つの聖母賛歌のひとつだけが必ず歌われることになっている。4つのうちのどれを歌うかは、教会歴によって季節ごとに厳密に定められており、特に最後のSalve Reginaは、半年近くの間歌われるキリスト教にとって非常に重要な聖歌である。16世紀の日本のキリシタンも唱えたといわれる。
 また1992年公開の映画「天使にラブソングを」の中でも、ゴスペルで「サルヴェ・レジーナ!」と歌われているのは、一部の人々の間では有名である。
 さて、蘊蓄はともかくとして、この曲、難しいのである。無調音楽ではないものの、複雑な和声や意表を突いた転調、複数調の混在等、時には仏教の声明のようにも聴こえる。どういう頭の構造の人がこういう曲を作れるのだろうか、と思ってしまうほどである。しかし、きれいに響けば美しいことこの上ない。ア・カペラ(無伴奏曲)は苦手と自覚しているたちばな であるが、性懲りもなく今回もプログラムにこのような難曲を入れてしまった。
 本日は、会場ホールの響きを味方につけてうまくお届けできれば幸いである。
(櫻井義人)

混声合唱組曲 水のいのち
 田三郎がこの合唱組曲を発表したのは昭和39年、東京オリンピックの年でした。今年でもう54年経った事になります。ちなみに作詩は野喜久雄です。
 日本の合唱組曲の中でこれだけ演奏され続けている曲も珍しいと思います。正確には分かりませんが、演奏回数や楽譜の出版冊数は1番多いかも知れません。
 初めは混声合唱のために書かれましたが、後に女声合唱、男声合唱のためにも出版されました。
 曲の内容が普遍的であり、どの年代の人が歌っても抵抗がなく、それどころかとても共感できるというのが今も歌われている理由でしょう。
 合唱を歌う場合も、他のパートやピアノとコンタクトを取りながら歌うととても面白く、日本語の細かなニュアンスも出し易い曲です。古さを全く感じません。
 本日ご来場くださった方々は、是非ピアノにも注目して戴きたいと思います。最初から最後まで合唱と共に、或いは先を行き、繊細な音が流れ続けます。それこそ水の姿を体現しているのかも知れません。
(小澤 仁)

オリンピックの足音が聴こえる! 〜札幌からたどる歴代オリンピック曲集〜
 本年2月に開催された2018年平昌オリンピック・パラリンピックでの日本選手の活躍は記憶に新しいところですが、いよいよ2020年に東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。そこで、最終ステージでは、来るべきオリンピックに思いをはせて、過去のオリンピックのテーマソングをたどっていきたいと思います。
 最初の曲は、日の丸飛行隊によるメダル独占、銀盤の妖精ジャネット・リンの印象が強烈だった1972年札幌オリンピックのテーマソング「虹と雪のバラード」です。この曲は、黛ジュン、菅原洋一、ピンキーとキラーズ等の複数の歌手によって歌われましたが、トワ・エ・モアが歌ったものが一番ヒットしました。
 2曲目は、平昌の前の冬季オリンピックである2014年ソチオリンピックのNHK「2014年ソチオリンピック・パラリンピック放送」テーマソングである「今、咲き誇る花たちよ」です。コブクロが歌いました。
 3曲目は、NHK「2006年トリノオリンピック放送」テーマソングである「誓い」です。平原綾香が歌いました。
 4曲目は、NHK「2012年ロンドンオリンピック・パラリンピック放送」テーマソングである「風が吹いている」です。いきものがかりが歌い、第54回レコード大賞優秀作品賞を獲得しました。
 本ステージ最後の曲は、NHK「2004年アテネオリンピック放送」テーマソングである「栄光の架橋」です。体操男子団体が28年ぶりに金メダルを獲得した時のNHK中継でアナウンサーが「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だ!」と実況した言葉が流行語大賞にノミネートされ、曲の知名度も上がりました。歌ったゆずは、昨年末の第68回紅白歌合戦でもこの曲を大トリで歌いました。これにならって、本演奏会の大トリもこの曲で締めたいと思います。
(仲田雄作)


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