曲目解説
クリスマス・オラトリオ
クリスマス・オラトリオはバッハがライプツィヒに移ってからちょうど11年目にあたる1734年に完成された作品であり、彼が残した3つのオラトリオ(この曲の他に《復活祭オラトリオBWV249》と《昇天祭オラトリオBWV11》がある)のなかではもっとも規模が大きく、音楽的にもすぐれた作品で、彼の代表作の1つに数えることが出来る。
全曲は6部からなり、オラトリオの名で呼ばれてはいるものの、じつは6つの教会カンタータを一組にまとめたもので、一貫した筋をもっていない。初演においては1734年のクリスマスの日から、翌年の1月6日(公現日、顕現節として知られる)にかけて、6日にわけて次のように演奏された。
第1部 クリスマス第1日。午前に聖ニコライ教会で、午後に聖トーマス教会でうたわれた。
第2部 クリスマス第2日。
第3部 クリスマス第3日。
第4部 元旦、キリスト割礼祭。
第5部 元旦直後の第1日曜日。
第6部 1月6日、キリスト顕現節。
歌詞の作者は明らかでないが、その一部は『新約聖書』のルカ伝第2章1〜21節、およびマタイ伝第2章1〜12節までのキリストの生誕に関する句を用いているが、物語とまではなっていない。音楽的には以前発表されたカンタータや既存の素材の転用に基いており、世俗カンタータから書きかえられた曲も少なくない。曲全体としては、クリスマスの明るさと喜びに溢れ、劇的というよりはむしろ抒情的であり、その旋律は明快で楽しくバッハの作品のうちでもっともわかりやすいものとなっている。
本日は、来年元旦に予定されているライプツィヒ・聖ニコライ教会での演奏同様、後半の第4部から第6部を演奏する。
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