本演奏会の幕開けは、バッハのモテット「主に向かって新しい歌を歌え」から。1789年にライプツィヒでこの曲を聴いたモーツァルトが感激したというエピソードでよく知られている。初演の時期などは諸説あるが、祝祭的な雰囲気は、新年の演奏会に相応しいものであるだろう。
続いては、本日出演のソリストたちによるカンタータのアリアとコラールを。まずカンタータ83番「新しい契約の喜びの時」からバスのアリア、テノールのアリア、そして終曲のコラールを演奏する。このコラールは、ルター作「平和と歓喜もてわれはゆかん」に基づく。初演は1724年の「聖母マリアの潔めの祝日」である。
続いてカンタータ82番「私は満ち足りています」から「まどろめ、疲れた目よ」。このカンタータはバスのソロ・カンタータとして知られているが、バッハの生前にソプラノやメゾ・ソプラノでも演奏された記録がある。今回はソプラノ・ソリストによる演奏である。初演は1727年、やはりこちらも「聖母マリアの潔めの祝日」に行われた。
最後にカンタータ144番「自分の分を受け取って帰りなさい」から、アルトのアリアとコラールを。この曲は先の83番の翌週、1724年2月6日、復活節前第9日曜日に初演されている。
宮崎文彦