曲目解説


シャルパンティエ:真夜中のミサ H9

 シャルパンティエ (Marc-Antoine Charpentier, 1634?〜1704) は、画家としての修行のために出かけたローマでジャコモ・カリッシミのオラトリオに感銘を受け、音楽を志すようになったという。その後フランスへ戻り、1698年から死去までサント=シャベルの楽長を務めた。
 本日演奏される《真夜中のミサ》は一説によれば作曲者が50を越えた頃に作曲された円熟期のもので、その最大の特徴は「ノエル」(クリスマス)の歌の旋律が用いられている点にある。 シャルパンティエは、ミサの各部分のテキストにふさわしいノエルを採用、原曲の曲想を損なうことなく、単純なホモフォニックなスタイルで扱い、ノエルという明快で親しみやすい旋律の雰囲気をそのまま残している。

第1曲「キリエ」
(「ヨゼフは良き妻をめといぬ」「マリアは私たちに語った」「若き乙女は」)
第2曲「グローリア」
(「館の人は」「楽しげな羊飼いたちはどこに行くのか」)
第3曲「クレド」
(「限りもなく望まれる汝」「おごそかなる降誕の日は来れり」「クリスマスはやってきて」)
第4曲「オッフェルトリウム」
管弦楽のみによる演奏(「家畜に草を与えよ」)
第5曲「サンクトゥス」
(「おお、神よ、わが命そのものよ」)
第6曲「アニュス・デイ」
(「真夜中におきて」)

*()内は用いられているノエルのタイトル
(この項目は『名曲解説全集 声楽曲1』における美山良夫氏による解説を参照)

宮崎文彦


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