バッハは有名な《ロ短調ミサ》(BWV232)以外にも、4曲の小さなミサ曲(BWV233〜236)を書いている。《ロ短調ミサ》がミサ通常文の5部分すべてを有しているのに対し、これらはキリエとグロリアの2部分のみからなっている。バッハ当時のルター派教会では、この2部分を礼拝に用いることも多かったため「ルター派ミサ曲」と呼ばれている。
バッハがいかなる理由でこれらのミサ曲を作曲したかは諸説あるが、どれも決定的ではない。しかしほどんどの曲がライプツィヒでの教会カンタータから改作されている。また作曲年代についても不明な点が多いが、おそらく1738年〜39年頃と推定される。本日はこの中から、「ト短調 BWV235」を演奏する。
川上裕美子