デーテーペーな1日

1996.9.1~15

9月1日(Sun)
 僕はアルコールを飲みません・・・体質的に"飲めません"なのか、ホントはいける口なのかも、試したことないので不明のままです。どうせ、中枢神経マヒさせるためなら、薬品とかキノコとかの方が効果的だろうになぁと思ってます。なんでも「パブロンゴールドせき止め液」10本ぐらい一気飲みするとかなり"イケる"ようですが、せき止め液10本はなぁ・・・マジックマッシュルームは日本の山にも自生しているらしいのですが、そもそも息弾ませて山歩きしながらキノコ探す健康的な人には、そんな妖しい植物は必要ないでしょう。
 また余談でした。で、僕がお酒を飲まないのか、飲めないのかのお話の続き。
 だから、焼き鳥屋に行ってもコーラ等の飲み物を注文するので、飲む方からは顰蹙かいまくりです。
 昨夜も、なぜコーラにこだわって他のウーロン茶とかは頼まないのかと、ある人に訊かれたのですが、う〜ん、まぁ注文する飲み物が限られてるというのが大きな原因ですが、ウーロン茶とか麦茶とかの"お茶系統"の飲み物にお金を支払うことが納得しづらいという、根っからの貧乏人育ちなのです。「お茶」というものは・・・何処の食堂に行っても大きめのやかんに入っていて好きなだけ飲める「無料」の飲み物だった筈なのに、いつのまにか、自動販売機でコーラやジュースと同じ顔して並んでると、未だに信じられない気がします。お茶なら家帰って飲むゾ、俺は!
 あと、ファミレスで食事と一緒にクリームソーダ注文するガキ。飯喰いながら緑色のドリンク飲むのはやめてくれ!あぁ、うちの子供達も好きなんです・・・

 最近はただのオヤヂの繰り言のようです、「デーテーペーな1日」。老化現象は精神から現れるというのは本当かもしれません。つまらないお説教オヤヂだけにはなりたくないと思っていた筈でしたが、わが家の子供達にとっては、本当に口うるさい父親かもしれません。何しろ、両親とも自宅で仕事と称して、一日中在宅しているのですから、僕が子供だったらいい加減うんざり。母親が2人いるようなモノ。そうなんです、結構ねちねちした性格なんです。


9月2日(Mon)
孤独な少女と孤独な記憶(1)

 休み時間中の学校の廊下で、なぜかその子のまわりだけを避けるように、人の輪ができていた。しかし、壁にもたれて文庫本を読んでいる彼女の横顔には、孤独な影はあっても拒絶する冷たさは僕には感じられなかった。整った顔立ちの美しい少女だった。背中の真ん中辺りまでのばした髪はきれいに切り揃えられ、窓越しの風に微かに乱れるその長い髪を左手でかき上げるしぐさがひどく大人びて見えた。
 隣の同級生の男が彼女の名を教えてくれた。1年後輩で今年入学したばかりだが、つい最近、どこかのミス・ティーンコンテストで準優勝して、学校中の男達の間で評判になっているらしい。かなり生意気で同性の評判はひどく悪いのだが、その事も含めて男達の注目を一身に集めているようだった。
 その同級生はコンテストの模様が掲載された週刊誌も持っていた。何人かの少女と並んだ水着姿の彼女が挑発的にカメラに向かって笑っているスナップが数点と、簡単なプロフィール紹介が何行か。好きな作家に「ウィリアム・バロウズ」を挙げる彼女の気負いが微笑ましくて、僕は彼女のことが気になりはじめる。

 二度目にあったときも彼女はひとりだった。

 しかたなく駆り出された運動会の二人三脚・・・適当にその場で異性同士でペアを組むのだが、なぜかあぶれたのが僕と彼女だった。その当時から、はぐれ者の予感がお互いにあったのかもしれない。担当の教師から渡されたテープで彼女と僕の片足ずつを縛るのだが、彼女の素足の感触に、僕は秘かに勃起していた。

「私、あなたの事知ってます。」

 なぜ?

「だって、新聞部ですよね?」

 確かに当時の僕は新聞部に所属していたが、学校新聞発行するわけでもなく、ただ、なにやら怪しい思想にかぶれて、部室で毎日議論するだけの新聞部員だった。

 で、二人三脚の結果はどうだったのか?結果については忘れてしまったが、意外なほどに一生懸命に走る彼女の息づかいだけは今でもハッキリ覚えている。

 一部では「逃げ」の日記として不評のようですが、本人が気に入ってるので勘弁して下さい。ということで、またもや連載日記です。勃起とか息づかいとか、例によってそちら方面でお話が展開する予感が多分に・・・ただ一言「えっち」なんて書かれたメール貰って嬉しがってる人間ですので、ついついタイピングがそちらへと向かってしまいます。反省することの少ない人生である自覚は充分にあります。
 つまりは、開き直りですナ。


9月3日(Tue)
孤独な少女と孤独な記憶(2)

 彼女の読む本には、彼女自身の苛立ちと自虐が色濃く反映されていた。事実、その事が不必要な緊張を彼女に強いているようだった。
 絶望するにはいささか早すぎるような気がするのだが、人のことをあれこれ言えるほど、僕も自信を持って生きていたわけではなかった。なにやら、かたわな情熱にお互いが満たされていた。
 学校内ではまったく無関心な様子で誰とも打ち解ける事のない彼女は、午後、僕と秘かに待ち合わせた喫茶店では驚くほど雄弁だった。

「やっぱり、見る描くとのあいだには、見る書くほどの距離はないよね。」

 うん、確か先月号のユリイカにそんな一節があったよね。

「デュシャンとマッソン、どっちが好き?」

 シュルレアリスムは、難解なオナニーのための道具としてはちょっとパワー不足かもしれないよ。

 僕はほとんど会話することなく、黙って彼女のおしゃべりの聞き役に徹していた。実は、議論と言うモノに完全に倦んでいた。空回りする議論と空しい知識の応酬に明け暮れることにほとほと嫌気がさしていたのかもしれない。
 無意味な会話を求めていた。決してかみ合うことのない、何処までもすれ違う空虚な会話・・・お互いを通して自らを見るような、そんな不毛な会話を、秘かに楽しんでたりしていた。

 冬の夕暮れだったと思う。電車を乗り継いで出かけた映画館は、ほとんど観客の姿はなかった。貧しい椅子が並び、場末の空気が壁や天井の染みを通してにじみ出しているような小さなホールだった。若いカップルが連れだって見にくるたぐいの映画ではなかったが、彼女が強引に決めて僕を誘った。壊れたトイレの悪臭に青ざめながら戻ってきた彼女に、もう出ようか?と訊いたが、もちろん彼女がうなずくはずなかった。いわゆる「ピンク」と呼ばれる映画だった。

 もう少し続けないと、まるで意味不明なままですが、残念ながら締切時間が迫ってしまいました。本日はここまで・・・締め切りと言ったところで、自分ひとりで決めただけのことで特別な意味はありません。いつまでも書いてると厭きるので、いい加減なところで匙を投げているだけかもしれません。しかし、あまり面白くなりそうもない予感がありますが、せっかくはじめた連載日記なのでもう少しお付き合い下さい。エッチネタとしても不発のままでした。申し訳ない。


9月4日(Wed)
孤独な少女と孤独な記憶(3)

 耐えきれずに途中で椅子を立ってしまった自分自身に腹を立てているようだった。映画雑誌の過剰な惹句にひかれてみても、中身は男と女のからみシーンが延々と続くだけの退屈な映画だったことに、僕自身もうんざりさせられていた。
 正面を向いたまま決してうつむかず、顎をあげて歩く彼女の後ろ姿はとても美しい。小柄だがバランスの取れた姿態に、大人びた黒のタイトスカートが良く似合っていた。足早に歩き続ける彼女が振り向くと、いったん立ち止まり、僕の右手のひじの辺りを小さく掴む。彼女が僕の身体に触れたのはそれが初めてだった。

 「私の家で珈琲でも飲みませんか?」

 冷たい彼女の掌の感触・・・少し震えていたかもしれない。

 アパートを借りてひとり住まいしているらしい。何か事情がありそうだが、込み入った話をする事の苦手な僕は、その事について何も尋ねることはなかった。そう言えば、彼女の住所も電話番号も僕は知らなかった。一方的に彼女から連絡があり、どこかで待ち合わせるのが何時ものことだった。

 今日の彼女はなぜか無口だった。1DKのアパートは、年若い少女の部屋には似つかわしくない天井までの本棚とベットと机以外、ほとんど家具はなかった。

 「ごめんなさい、珈琲お誘いしながら、インスタントしかないんです。」

 それで充分。珈琲を味わって飲む時間じゃないしね。

 椅子のないその部屋ではベットが椅子がわりで、傍らの机の上に珈琲カップを並べる。
 僕はずっと迷っていた。彼女が繊細で傷つきやすい心を隠して、人一倍背伸びして生きていることが明らかだったから。
 いや、迷いではなく、ひたむきで純粋な彼女の心に潜む、その年代の少女には不似合いなほどの孤独の深さの意味を知ることを恐れていたのかもしれない。

 ベットの上に並んだ彼女の肩をそっと抱く。目を閉じた彼女は自分からそのまま後ろに倒れこみ、僕はおおいかぶさるように彼女に口づけする。彼女の心の葛藤そのままに、僕を強く抱きしめたかと思うと身体を硬直させて激しくあらがう。その度に僕は彼女を抱く腕の力を抜くのだが、決まって彼女から一層からだを密着させてくる。
 彼女はとても怯えながら、求めていた。その事でも、僕は愚かにも欲情していた。怯える彼女のブラウスを脱がせるとき、みにくい欲望が僕を駆り立てる。小さな乳房に口づけると、小刻みに震えていた彼女の腕に力が入る。求めながら拒絶する、二つに引き裂かれた彼女の心と肉体。なぜこんなに怯えるのか・・・彼女の裡で僕が充たされた後も、じっとして動こうとしない彼女は、それでも僕の背中にまわした腕の力を弱めることはなかった。

 何だか、フィクションからの逆襲がとても辛いようです。自分自身で、過去の記憶が折り重なって、はたして、あれは夢だったのか現実だったのかだんだん定かではなくなってきました。どうやら、不確かな記憶は、自分自身に都合のいい思い出しか残さないようです。何を捨て何を残したのか・・・その事を確かめるために書いているのかもしれません。


9月5日(Thu)
孤独な少女と孤独な記憶(4)

 彼女の肉体の反応に、ハッキリと悪意ある男の姿を感じた。

 身体の処女性と同時に、彼女の心の裡の処女性がより一層傷つけられていることに、僕は何度も立ち止まる。僕の指が触れるたびに硬直する身体と、無意識に押し返そうとする腕の力の強さとは裏腹に、自らの肉体の変化が彼女自身の意識を裏切ることにも深く傷ついているようだった。嫌悪と快感のせめぎ合いに身悶えする彼女を圧し拡げることで、僕自身もいつしか猛々しい欲望に押し流されていた。
 優しさを求めている彼女に、どこかねじくれた欲望に染まった僕は、跡の付くほど強く彼女の乳房を噛む。両腕で強く僕の身体を押し返しながら、突き上げるようにからみつく彼女の下半身に、僕達の欲望はいっそう大きくなっていく。
 耐えきれない快感を口にすると、彼女は身体を入れ替えて僕の上になった。両腕で辛うじて自らの身体を支えながら、いっそう深く僕の欲望の中心を求めて弓なりに上体をそらせる。もはやそこには、怯え、恐怖する彼女の姿はなかった。真っ白に蒸発した思考の奥から、好色で強靭な欲望の虜となった彼女が現れる。ここまで彼女を恐れさせ、尚かつ、貧欲な欲望に駆り立てる事を教え込んだ男の存在が僕の頭をかすめる。

 それは、お互いの孤独を認め合うようなSEXだった。誰かの指の記憶を消すかのように激しく悶える彼女と、ひとつひとつの反応に、彼女を抱いた男の姿を思い浮かべる僕・・・本当はお互いの肉体など必要としていないのではないか?孤独なオナニーに耐えられないだけではなかったのか?彼女の奥深くに射精しながら、彼女が絶頂で呼んだ男の名前に嫉妬することで、僕は辛うじて彼女を愛していると信じようとしていたのかもしれない。

 何故こんな文章を書くのか?実は自分自身でもよく分かりません。有り体に言えば、もはやSEXに過剰な期待を抱く年令ではなくなっているのでしょう。だからこそ、書いているのかもしれません・・・いずれにしても自らの意図する事にあまり正直とはいえない性格ゆえに、全ては曖昧なままです。


9月6日(Fri)
孤独な少女と孤独な記憶(5)

 まるで、僕は彼女を相手にゲームをやっている気分だった・・・彼女の裡に作られたマゾヒスティックな願望の強さはほとんど万年雪のように厚く彼女の心を覆い、容易に解けることはなかった。僕は彼女をこれ以上肉体的にも精神的にも傷つけることを恐れていた。挑みかかるような彼女とのSEXは、僕もまた、彼女と同様に血を流すことを強要された。ほんの少し伸ばしただけの彼女の爪が僕の背中を何度も往復するたびに、赤く跡を残した。強く、跡が付くように噛むことを望む彼女の喘ぎに、僕の理性も愚かに吹き飛ぶ。獣の体臭に満ちた部屋には、いつも微かな血の臭いもしていた。
 僕は、そんな彼女とのSEXに、彼女の孤独の深さと絶望の身近なことを感じ続けていた。しかし、何故そうなのか?彼女の性癖の裏側に見える"男"の存在について、決して尋ねることはなかった。孤独の裏に潜む残酷な予感を恐れていたのかもしれない。

 「してる時って・・・とても苦しいのにさらに深く潜ろうとする酸素不足のダイバーみたいな気分なの。全身をつつむ海水中の酸素を必死に呼吸しようとして、ごぼごぼと肺に流れ込む海水に溺れている両生類の子孫てとこかも。」

 君の比喩にはときどきひどく実感のこもるときがある。まるで、君の肉体自身があげる言葉のように思えるときに・・・

 僕が新聞部に出入りするのやめると同時のように、彼女が入部してきた。学校での彼女は、昂然と顎をあげて挑戦的に相手の目をみたままで話す、理性的で美しい存在だった。生徒集会でも積極的に発言を求め、参加者達の不明を激しく糾弾する。
 新聞部での論争にも、容赦のない追求で上級生達の甘えた論理を一喝するだけの、したたかさと柔軟性を持っていた。つまり、虎のような女だった。美しいが危険すぎて、愛でるには射殺して敷物にするしかない危険な生きもの、という訳だ。勿論、僕もそんな彼女の批判の矢面に立たされた。他を省みることのない怠惰な性格と、僕のシニシズムについて。
 彼女は何かしら今までとは違った結論と諦念にたどり着いたのかもしれない。何故そうなったのかが分からないまま、僕は彼女を避けるだけの弱々しい"オス"であり続けていた。

 昨日で終わろうと思ったはずなのに、何故か本日も連載日記です。勿論、オチが必要なわけではないのでいつ終わっても良いのでしょう。ただし、個人的な過去の記憶には「おわり」は有り得ないのでしょう。


9月7日(Sat)
孤独な少女と孤独な記憶(6)

 無理な姿勢で彼女の両手を押しつけて、後ろから突き上げると、体を弓なりに反らせた彼女が僕の耳元で囁く。

 「縛って。」

 それが君の望みなのか・・・いったい誰からそんなことを教わった?

 しかし、僕は無言で彼女の望むままに両手をベットの柱にくくりつける。
 乱れたシーツの上に全裸でよこたわる彼女・・・まるで、緊縛されたミューズのようだった。倒錯した欲望につき動かされた僕は、身体をねじった無理な姿勢のまま彼女を抱きしめる。身悶えながら、何故彼女は泣くのか?固く閉じた彼女の目から流れる涙に僕は心の片隅がひやりと醒めながら、止めることの出来ない欲望の波にそのまま溺惑する。

 僕達は何処へ行こうとしているのか・・・

 僕は彼女を避けるようになった。自分自身の愚劣な欲望で彼女の肉体を弄んでいる気分がいつまでも付きまとい、彼女の顔を正視することが出来なくなっていた。いや、本当の所は彼女とのSEXにのめり込む自分自身の性癖を恐れていたのかもしれない。
 あからさまに彼女を避けようとした訳ではなかったが、彼女は僕の思いをすぐに理解する。どちらからも電話のないまま、数週間が過ぎていた。

 不愉快な彼女に関する噂が学校中に流れていた。
 誰とでも寝る女で、一言声をかければそれでよいらしいとか、ベットの上でスゴイらしいとか、さまざまに無責任な流言が彼女の周辺を包囲して、冷ややかだが好奇心まみれの注目を集めていた。
 たぶん、まるでデタラメな噂でははなく、彼女の行動のいくつかは真実なのだろう。僕も何度か男と並んで歩く彼女の姿を見たことがあった。何故あんな男と・・・苦い嫉妬に包まれた僕には、彼女の考えることがよく理解できなかった。まるで、自らを罰するような彼女のSEXの為の、その罰にふさわしい男としか僕には思えない。
 ベットでの彼女と男の姿態を妄想して、僕は愚かにオナニーにふける毎日だった。

 今日書き続けてしまったことで、また明日も続いてしまうのかもしれません。昨日で終わりにしておけばよかったのかも・・・。
 昼間にこんな文章書いているのは、なんだか妙な気分です。ここの処外出の予定が多くて、日記の更新が何故か早いようです。昨夜は一晩中サーバーがダウンしていたので、昨日の日記をアップしたのは今日の昼でした。と云う事で、一日に2回アップする事になるようです。


9月8日(Sun)
 何時までも団鬼六のパロディ日記みたいなものを書き続けていてもしょうがない。もういい加減にやめてしまいましょう。何より本人が厭きております。

 祭りの後の気怠い後悔のように、熱狂の記憶だけが色濃く残っているような町だった。
 住宅地を抜け、何度か角を曲がると少しづつネオンの数が増えてくる。路上には客引きらしい男女が所在なげにたたずみ、私達一行を値踏みして、そして会話に戻る。土曜の夜だというのにほとんど行き交う人の姿はなく、ネオンが消えたままの店も何軒か・・・村上龍の有名な小説中で語られたような熱い鼓動の予感はどこにも感じられなかった。
 ただ、うずくまった猫のように気怠い空気には、一種の匂いの様なモノは残っていた。欲望と恐怖が滲んだ汗と青臭い精液の匂い。基地の町に共通する、日本人のメンタリティの裡にはない暴力とSEXの予感がない混ぜになった危険な匂いなのかもしれない。フッサ・ヨコスカ・コザ・・・
 遠くからでもベースとドラムのリズムだけは伝わってきていた。木製の小さな扉は開け放たれ、その奥からリズムとメロディが折り重なるように路上に溢れてくる。扉をくぐると穴蔵のように続く通路の片側にカウンター。そこでチャージを払う。飲み物もそこで注文するようだ。全て前金制。左手の甲に緑色のスタンプを押されて、アミューズメントな気分はいっそう昂進される。
 通路の奥、15坪ほどのフロアーはすでに満席で、先ほどからステージでの演奏は続いていようだ。音楽のジャンルを正しく判断する知識のない僕は、こうしたステージはいつも新鮮だった。まず、正確な日本語で叫ぶボーカルの声の質と音の厚みが、大人のロックを主張している。少年のようにボーィッシュでスリムなトランペットの少女がリズミカルにステップを踏み、決して若くはないボーカルと客席の間の乾いた共感が僕には心地よかった。
 終わってしまった祝祭を懐かしむでも回顧するでもない、そんな確かな実感に充たされた自分たちの"いま"を楽しむ空気に、僕もまた同化していくようだった。

 この町のライブスタジオ・・・いや、この町に夜に来たことすら初めてでした。なにやら観光地化したゲート前の商店街と昼間の気怠い空気の裏通りに、熱気はすでに覚めきっているものとばかり思いこんでいました。確かに、燃えるような熱気はすでに何処にも見当たりませんが、白く退色した灰の下にも、未だ熱いモノは消えてはいないようでした。
 風化した熱波の記憶・・・ふと、そんな言葉が浮かんだりする。


9月9日(Mon)
悪夢の予感あるいは観察日記

 あ、そんなにあわててBackしなくても。本日、例の不明な日記ではありません。
 したがってエッチ&精液系の話題は登場しませんので、お子さまも是非どうぞ。<僕の日記を毎日読んでる、そんなお子さまっているのでしょうか?いたら恐いけど、ついでに日記も書いてみたら。いま登録ならReadMe!がトレンドみたい。<がはははh。たかのさん向けワイロ日記。

 暑い夏の盛りに、とあるイベントに子供連れでいった時からこの物語は始まる。
 熱気を避けて木陰におかれた直径2メートルほどの子供用プールの様な水槽の中、緑の藻の間に茶褐色のモノが蠢く姿が・・・不吉な予感は当たっていた。
 その水の中には無数のザリガニがうじゃうじゃと。きゃー。
 お腹側に足が複数有って、もぞもぞ動くモノ・・・僕にとっていちばん苦手な種類の生物なのです。さらに、"うかつに触ると激しくはねる系"はその中でも特に勘弁して欲しいです。
 子供は買って欲しいと言い、ザリガニは恐いからヤダと言えない父親の沽券が、ついつい店番のアンちゃんに「いくら?」と訊いてしまいます。2人に一匹づつと言うのを、すぐ死んじゃうから一匹でいいよと、しかたなく買う・・・
 自宅に戻ると昆虫観察用の容器に移しかえるが、よく見ると足が何本か無く、触覚も片方しかないおぞましいご様子。子供達が指を近づけると高々とハサミを上げて威嚇して、元気はいっぱいのようだ。
 で、そんなモノは子供達に任せていた数日後、なにやら子供達が興奮した様子で容器を持ってくる。ウ〜、あんまり目の前にもって来るんじゃない。
 なにやら後ろ側の脚に半透明の小さな固まりがびっしりと・・・ゲッ!ナンだこれは!数日前、やはり子供達がザリガニが卵を生んだと騒いでいたが、一匹で繁殖出来るわけもないだろうと忘れていたのだが、なんと、孵ってる。小さいながらも、親と同じ姿のヤツが数百匹。も一度、きゃー。
 しかし、ザリガニって"ひとりエッチ"で"ひとり妊娠"したのでしょうか?う〜ん、だとすると寂しい性生活だ。<やっぱりエッチネタから逃れることは出来ませんでした。

 てな訳で、わが家のザリガニくんは一気に数百匹に増えました。この間も全員脱皮して、確実に成長しております。あれだけの数のザリガニが成長して水槽いっぱいにもぞもぞ動いている想像図・・・しつこくてすいません。きゃー。

 緊急プレゼント実施中! ザリガニのとっても可愛い赤ちゃんが欲しい方、どうぞわが家まで。ペアで飼ってあなたもザリガニの繁殖に挑戦しませんか?郵送不可。手渡し希望。交通費各自実費。昼食自弁。猫の餌可。


9月10日(Tue)
 日記のネタなにも考えてません・・・しかし、ネタがないから日記が書けないって、言い訳として、やはり忌み不明です。日記って漫才ネタじゃないんですから。日記ネタの構成作家募集中。あ、本番中は笑い声かぶせてネ。

 本日は、正真正銘の日記です。

 うーーーー、まず1日の始まりがハッキリしません。本日は午前3時ぐらいまで日記めぐり。その後、なぜか夜中に車走らせてラフ原稿受け取り。勿論だれもいません。紙袋に入った原稿を、取引先の事務所にあらかじめ置かれた連絡用のロッカーの中から取りに行くだけです。昨日出来ていたのに、面倒なのでそのまま放ったらかし状態。これで納期を無駄に1日消費。1日サバ読んでるから結果的に問題なし。がはははh。フリーは何時も保身に長けております。
 帰ったら着替えて、朝方までベットの上で読書。先日買った「愛と幻想のファシズム」読了。以前読んだ筈だが、結末まで含めてまったく記憶になし。初めてのように楽しめました。記憶力のなさは、やっぱりこんな時便利です、マレニくん。
 そんな事しているうちに子供達が起きてきて、朝っぱらからWOWOWの騒がしいディズニーアニメをいっしょに見ながら珈琲を飲む。珈琲飲み終わったら、メール読んで、寝ます。<おいおい。
 目が覚めたら11時過ぎ。で、また寝る。<こらこら。つぎ起きたら、昼食でした。夕食でなかったことに安堵する。
 激ヤセ&放火殺人・・・何処も同じ。テレビ局のスタッフって、ナンでこんなに頭悪いんだろ! と、連日同じ事を吼えながら、リモコンでチャンネルをうろうろ。以下、仕事・メール・日記巡り・伝言板などを断続的にくり返し。気が向いたら、寝る。仕事に厭きたら日記書き。<厭きるほどやってないって!
 かくも不毛な1日・・・どこが始まりでどこが終わりか?本人にもよく分かっておりません。

 う〜ん、やっぱり日記ってツマラナイ。オチがないんだもの・・・

 最近特にデタラメな日々です。デタラメも連日続くと、なぜかこれが日常になってしまうから不思議。ときどき時間の観念失って、明け方5時ぐらいに夜食のカップラーメン食べたりしながら、これって朝食?・・・ふと、愚かな自問が頭をかすめたりするのも、いとおかし。


9月11日(Wed)
 う〜〜ん、久しぶりに熟睡しました。<午後からの昼寝で熟睡してどうするの!?
 しかし、本日もデタラメな1日でした。何処がどうデタラメかも不明なほどにデタラメ・・・キング・オブ・デタラメ。

 3日にあげずわが家に届く
「七五三お祝い着・お買い得・ビッグバーゲン」同時開催「貸衣装予約展示会」みたいな、ダイレクトメールなんですけど・・・そりゃ、わが家に三越の外商部から「お得意さまへのご案内」が来るはずないけど、あまりにもビンボーくさいぞ!晴れ着の丸昌・立川店。
 貧乏人相手のビンボーくさい商売。わが家はビンボーにはプライド持ってるんだから、そんな人造絹糸と大量生産の匂いぷんぷんのビンボーの押しつけはいい加減にしてくれませんか。
 新研ゼミの子供チャレンジと、公文式・・・これもうるさいな〜、まったく。全国の新1年生に無差別にばらまくその膨大なDMとテレビスポット・・・これもビンボーくさいです、精神が。
 自信のない子供と、他人まかせの親の心のすき間をくすぐるやり方が僕は、とってもヤダ。
 ほおって置いて、とお願いしてもダメなんでしょうね。しかし、気がつけばわが家の奥さん、チラシやダイレクトメールをじっと眺めている事が多いような・・・。

 何故かあちこちで弱まってますと宣伝が行き届いて、気を使っていただくことが多いようです。がはははh、実は日記に書いているほどポテンツが低下しているわけではありません。ここの処は、週末はかえって頻繁に出歩いていて、いささか顰蹙かっているぐらい。今週末も、熱狂の2日連続オフミらしい。相変わらず、何処へ行ってもコーラドリンカーのようです。


9月12日(Thu)
 上田・日本ハム監督が、家族の統一協会への入信を理由に、このせわしない時期に退団するということで、ワイドショー関係者のボルテージも久々に上がりまくっているようです。宗教ネタはもうトレンドじゃない筈なのに、かっての、幸福の科学・統一協会からオウム報道での夢の視聴率再びと、愚かしく煽動をはじめるつもりでしょうか?熱しやすく冷めやすいテレビ界は、意外と執念深い一面も持ち合わせているのです。
 しかし、テレビ局の番組作りのバカさ加減は今更言うまでもありませんが、例によって登場するコメンテーターの愚かしさには改めてうんざり。テレビ局サイドからの意向にそった打ち合わせによってしゃべらされているのでしょうが、紋切り型で無内容なコメントで己の不明を晒していることに気が付いていない事には、驚かされる。
 曰く、

 いゃー、子供と両親はまったくの別人格で、いちいち子供のおこした事件に親が責任取る必要はぜんぜんありません。
 アメリカだったら・・・

 子供のおこした事件で親が詫びることや、仕事を退職することを、責任を取ることだと誤解しているようです。日本的な事情であることは確かですが、あの上田監督のように"お騒がせしたことや会社へご迷惑が掛かったことを、お詫びす取る両親"というのは、決して責任を取ったことにはならないと思います。僕に言わせれば、逃げているだけ。矢面に立って自らの意見を述べるより、アッサリやめてしまう方がはるかに楽な道でしょう。訳の分からない人達からは同情を集めたりして、ご本人のマイナスイメージは僅かです。本人も仕事を辞めることで、責任を果たした気になるのは、まったく日本人の浪花節的メンタリティーの産物。その事で親子の関係性は弱まりこそすれ、なんの解決策にもなっていないことは自明の筈なのですが・・・
 僕にとっては仕事上の雑音など取るに足らない問題に思えるのです。上田監督にとって、入信した妻や子供達との関係の修復に当たる事こそが、今一番重要な問題だと思うのですが。

 本日の日記を書いていて、なにやらどこぞの井の中の騒動の比喩になっているような気がしてきましたが、本人にはまったくそんな意志はありませんでした。書き上げてからは・・・ちょっと考えたかな?<こらこら。


9月13日(Fri)
 ひょっとすると、今日は13日の金曜日・・・なにやら不吉な予感が頭をかすめたりしましたが、はたして何かの予兆は始まってしまったのでしょうか?きやー。<比喩的悲鳴。
 う〜、書きたい。しかし、日記がらみの発言はBOWDOへ、というのが現在のスタンスなのでグッと我慢。
 本日非常に時間に追われております。はい、お出かけの予定なんです。したがってBOWDOの更新は遅くなりそうです。いやいや、期待してはいけません。以前のパターンに戻そうなんて事は考えていませんので、残念でした。誰となく。ただし、再登録はしてしまうかもしれません。お隣さんで登録しようかとも一瞬考えましたが、あまりにあざといので自粛しました。
 なんだ、なんだ、日記ネタは書かないと言いながら、結局書いてるじゃないか・・・がはははh、申し訳ありません。ついつい、愚か者の本性が。
 そういえば、あの方達と以前会ったときは6/30事件の真っ最中でした。何か騒動が起こると集まる傾向は・・・やっぱり、僕のせいでしょうか?自覚があるだけに、情けないです。とほほ。(C)●●●●

 急転直下、何か騒動の起こりそうな予感はありません。ひねりもなにもない結末に落ち着いてしまうのでしょうか・・・ああああああああああああ、またもや日記ネタに。本日追記するかもしれません。


9月14日(Sat)
 雛形あきこは僕も好きだなぁ。ナインティ・ナインの岡村君のセクハラネタに悶絶する彼女はとっても良いデス。
 「めちゃモテ!」は東京ローカルな番組なんでしょうか?深夜枠に入るからそうなのかなぁ?その辺りの事情を、確かめる術も希望もない僕は、例によってただただ無責任に書き殴るだけ。ナイナイもブレイクしそうで、いま一歩な処がはがゆいです。ヒッチハイクでもやるか?とほほ。(C)●●●●

 何故か意味不明なテレビネタで本日はご機嫌うかがい・・・あいも変わらずと言いたいが為にこういう文章を書くからトラブルを招き寄せるのでしょう。反省の日々は続くのだが、懲りないヤツかも・・・カモネ、カモネ、ソーカモネ<やっくんで〜す!(←極小一部の方つっこみ用)
 何時にもまして無内容な本日の日記の原因は・・・そうなのです、本日もお出かけ。昨夜は2時過ぎに帰ってきたのですが、居間の明かりがまだ点いてる・・・きゃー。奥さん、何故に起きてる?なるべく目を会わせないように、あわてて洗面所で歯を磨いてると、なにやら背後に冷たい視線が。

なにやってんだか、このおっさんは・・・

 そんな風に小さく頭を振って扉を閉める奥さん・・・な、な、なんだかコワー!。ゾクゾクしてきたぞ。今夜もお出かけなんですけど、まだ、そのこと言ってません。不良中年オヤヂのデタラメな日々に鉄槌の下る日はとても近いような気がします。あー、BOWDO更新しなくちゃ。

 ここの処のデーテーペ、つまらないですね。お出かけがらみの業務連絡日記で日々お茶を濁す毎日・・・ちょっと、自分の日記のスタンスを見失ってるような気がします。そんなご立派なモノが有ったとしたらですが。
 そうそう、彼はやっぱり、ちょっぴり寂しい目をした大男でした。彼の流す涙はやはり大粒なのかもしれません。己の裡なる情熱の代償によって、無限の徒労に呻吟するシジフォスのように・・・


9月15日(Sun)
 フリーで仕事やってると、特に連休などは社内のスタッフ休ませるために外注に仕事振り分けたりする取引先が多かったりして、逆になかなか休めないモノです。まぁ、いつも遊びながら仕事やってるようなモノですから、特別忙しいと言うほどでもありませんが。

 で、本日が敬老の日なのだと、やっとさっき知りました。
 そういえば、敬老の日には安物のプレゼントもっておばあちゃんの家へ行くのが、小さいときからの習慣でした。母方の祖母で、いわゆる内孫(というのかなぁ?ちょっと怪しい)で、僕は溺愛されていました。何人もいる孫の内で僕だけが、ラジカセ・カメラ・オートバイ・・・とにかく、言えばなんでも買ってもらえる、特別のお気に入りでした。何故そうなのかといえば、これがもう、小さいときの僕は大人や年寄りに取り入ることにかけては天才的に巧い、いやみなガキでした。おばあちゃんの家に行けば、言われなくてもほうき持ち出して玄関まわり掃いたり、親戚の家では、いとこ同士で遊んだ後は、ひとりで後かたづけしたり(もちろん一人で片づけてるところをしっかりアピールしながら)と、とにかく優等生で計算高いガキで、現在の自分が見たら間違いなく、尻蹴飛ばしてます。しかし、年寄りというのは心寂しいモノだから、そんな子供の浅はかな思惑についほろりとなって、小遣いくれたり高価な物買ってもらったりで、僕にとっては、ドラえもんの魔法のポケットの様な存在でした。
 小学校に上がる前から週末には必ず祖母の家に泊まりにいき、最初に小遣いもらって近所の貸本屋に直行。後は知らん顔で夜遅くまで借りてきた本や漫画を読みふけるのが、ほとんど中学入るぐらいまでの毎週の習慣でした。年寄りの作る料理は、偏食だった僕にはまるで受けつけず、いつもたきたてのご飯に卵かけて食べるのがお決まりの夕食で、その事だけにいつも閉口していました。しかし、毎週の小遣いの魅力からは逃れられず、つい週末になると出かけては「はい、お小遣い。」と、まるで若いつばめの心境。
 そんなお気に入りの孫も、大きくなればいつしか離れてしまい、何年かぶりで会ったときは、病院のベットでうつろな目をして天井を見上げたままで、僕のこともまるで分からないようでした。
 看護婦がやってきておしめの交換を始めると、そんな祖母が、険しい声で「出ていって!」と叫ぶのを聞いて、あのちょっとおしゃれで気の強かった祖母がとても傷ついてる事に改めて気がついた僕は、その時初めて、老いる事の悲しみを共感をこめて理解できたのかもしれません。

 最近、サーバーがらみのトラブルが多発しているような気がします。本日もどうもトラブルらしく、朝からネットの世界とは音信不通のままです。メールもWWWも、もちろんFTPもダメで、日記も早めに書いていたのですが、これも何時できるのかちょっと不安です。
 まぁ、これを読んでいるということは、無事アップできたということですね。


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