未明に看取りを一人。入院したばかりなのだけれど、もうちょっと余命があるかなと思っていたがん末期。死期を量る、のは難しい。
夜は腎生検カンファレンス後の宴会。今回は奮発して腎臓を食べる会を開催。イタリアンでRognoneのグリルとか。
仔牛のRognone、という事だったのだがそれでも歯ごたえがあり、成牛だともっと硬くなるだろうからこのくらいがいいねなどといいながら賞味。
「東日本大震災に関する特別調査」の概況を読む。なるほど、という感じ。不安が強くなる要因としてあげられていたのは、つまりは事態への理解力が低いか、もしくは低いと自覚している人たちで不安が強く、また危機に際して対応がしづらい層の人々で不安が強いという事。妥当といえばそうかもしれない。
せっかくの黄金週間、ということでほったらかし温泉まで車を飛ばす。道中にある笛吹川フルーツ公園でイベントもやっていたようだったので、温泉を楽しんでから行ってみた。園内のアクアアスレチックを子どもたちは堪能したようなのでそれはよかったのだが....どうせならば公園が混みだす前に公園で遊んで、汚れた体を温泉で流して帰ればよかったなと後悔後のまつり。
朝から公園の水遊び場に子どもを放流。水着を着せておいたのできっちり大騒ぎしていた。
その後は実家で昼飯を喰わせていただいて、夕方から当直へ。
同僚の結婚式に当直明けの頭で参列。必死に急いでシャワーに着替えまで済ませて、やや余裕を持って到着できたので何より。
同業で結婚したわけではないので披露宴で同席した方々は思い切り異業種の方で。幸い話し始めたらそれなりにお話できたので楽しく過ごせてよかったよかった。
「青い星まで飛んでいけ」(小川一水/早川文庫)を読む。「グラスハートが割れないように」がよい。
「なんだおまえ、本気で祈りの力なんて信じたんじゃないだろうな」
「いや‥‥普通信じるだろ!? あんな前振りされたら!」
「それを普通と思うようなら、お前はやや危ないな」
──本文126pより
祈りの力で増える菌類。そんなふれこみで流行する「グラスハート」を信じた時果とそれを苦々しく思いながら見守るコースケ。グラスハートを食べていれば健康が維持できるとまことしやかに流説が飛び、それを信じてグラスハートしか摂らない時果は痩せていく。
グラスハートの性質は話の中盤で明かされている。この話の主眼はグラスハートの謎解きではない。信じることとか祈ることとか頼ることとか。そして、間違えたときにどうやって立ち直るのかとか。最終盤でコースケの腕の中で泣く時果は健康的だと思う。正しく頼ることができた、そんな気がする。
そして、この話の通奏低音は、腎不全を患う時果のばあちゃんだ。彼女の週に三回の通院は、少なくない負担を家族にかけている。生きるために必要なことだと思えば文句も言えない。でも、楽な仕事でもない。そんな心理が、話の中に流れていると思う。
わたしが知る限り、透析治療中の患者さんが出てくるフィクション作品はあまり多くないと思う。紺野キタさんの作品で内シャントがある女の子が出てきたくらいだろうか。さらっと調べてみると、降旗靖男監督の映画「ホタル」で、主人公の妻が透析通院している設定だったらしい。
本筋ではないと思いつつ、普段透析患者を相手している人間として、通り一遍でなく透析患者を描いてくれた作者にありがとうといいたい思いだ。
外来やって看護師とのカンファレンスを終わるともう夕方。患者を診ている余裕がない罠。
忙しくない時に限って何が出来たわけでもなく日が過ぎてしまうのは何故でしょうかね。
夜は急遽で透析当番。結構遅くなりました....。
午後の外来開始ころに大雨あり。そのせいか客患者が少なめ。
実は肺炎ありそうな患者さんを誘導してたんだよね...雨を見ながら「調子悪いようだったら律義に来ないほうがいいかも」なんて思ったりしてた。
夕方医局にいるとママさん後輩が子どもを連れてきている。38℃熱が出ているという事で引き取ってきた由。……でもなんだか元気。却ってあしらいにくい。
仕事終わらせて帰りたいが子ども抱えているとやりづらいようだったので、しばらく遊んであげる。まぁ、元気なのはよい事かな。
土曜出勤。夜透析の患者さんのICDが透析終了間際に頻回作動して、かかりつけの循環器科へ転送。夜半に救急車同乗する羽目になった。
「ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件」(野村美月)読了。女装で代役で大役に対して力不足で。現時点ではご都合主義的にうまくいく展開で。さて、野村美月お得意の(?)ヘタレ主人公の活躍如何に。
日本生気象学会から熱中症予防の指針が公表されたらしい。
指針をまとめたら早く原文を公開しろと(ry
去年公表された指針をみると、「熱中症にかかりにくい体を作る」ことにも力点が置かれており、相対的には「暑くなってきてからの対策」には弱い印象。
読んでいて疑問だったのは暑くなってきてからの水分補給にスポーツドリンクを推奨している事で。日経トレンディの特集記事にしめされているスポーツドリンクのイオン濃度をみると、生気象学会のパンフレットで書いている「Na含有40-80mg/100mL」を満たさないスポーツドリンクは少なくない事がわかる。また、市販のスポーツドリンクが口当たりを重視して糖を多めにしているが、実際に脱水をコントロールするためには糖を多くすると胃からの排泄が遅くなりその分吸収が遅くなる事から、あまり甘くないほうがいいはず。実際に脱水症に対して使用されるOS-1の糖濃度は2.5%となっている。
食事をしっかりとっていればナトリウムは体に入っていくので、「メシも水もしっかり摂れ、メシが摂れなくなったら味噌汁だけでも作って食べろ」って指導でどうかな、と思う。
内科医師会議で「腎障害患者におけるヨード造影剤使用に関するガイドライン2012」を解説する。ぶっちゃけ、事前に補液するくらいしかいい手はありませんってのが内容なのだけれど、少なくともそれをはっきりさせたことは悪いことではないと思う。
夜は当直。それなりに穏やかな夜でほっと一息。
朝方来た患者さんが結構呼吸状態悪く。結局ICUで挿管してトロッカー挿入と相成る。久しぶりに自分で挿管した.....。
夜、循環器の先生が「面白い診療情報提供書が届いた」と。心カテしましたと報告を書いたら返書で「難しい処置を素晴らしく実施しており感心しました」みたいな内容で届いた由。「いやぁ、そんなに大変でもなかったけどねぇ」といいつつ満更でもない様子で。
ま、悪い印象は受けないのでこれでいいんだと思うんですがね。
夕刻、吐血の透析患者さんありと。緊急内視鏡が終わったあと輸血しながら透析する予定にしたのだが、透析できる病室がない。やむなく自分で付き添いながら透析室で実施。看護師さんの代わりのような事を。
胆管がん:校正印刷会社の元従業員4人が死亡なんてニュースをみつつ「毎日新聞だが大丈夫か?」なんて偏見に囚われている自分がいる。
もう少し多数例を調べないとこの会社特有の問題なのか印刷会社一般に広げられる問題なのか決められないと思うが、無視できない報告だと思う。
午後、相方が出かけている間に子どもを連れてスーパー銭湯へ。兄妹そろってあちこち入って遊んでいた。
午前外来、午後はカンファ。余裕のないタイムスケジュールであった...。
夜帰ってきて、だいぶ眠くなってグズグズの息子の宿題につきあう。機嫌を取りつつ宿題はやらなきゃ駄目よと抑えつつ。
風邪気味で体の重い一日。
北海道の路線バス運転手、病死客見逃すなんてニュースがあったんですが....夜中に布団の中で起こしたんなら大往生と言ってあげてもいいと思うなぁ、とか。バスのなかってところが珍しいかと。きっとえらく急だったのだろうけれど。
夜は当直。夜半に来た救急車はなんだかわからない方で..困った。
売れっ子お笑い芸人の母親が生活保護受給していたという事で国会議員がやり玉に挙げる騒ぎとなっている。
生活保護の受給単位は「世帯」ということになっている。ので、実の親子といえども同じ世帯でないのならば自動的にまとめて評価することにはなっておらず、生活保護基準に当てはまるかどうかは母親世帯の収入状況で決まる事になる。今回のケースでは母親に収入がなかった事は間違いないようなので、その意味では生活保護受給に問題はない。
では、別居の親族は経済的に困窮している親族になんらの責任を持たないのか。民法877条は扶養義務者の規定を置いているし、運用でも生活保護より扶養義務が優先されるとしている。しかし、この扶養義務は強制ではないし、自分の生活を困窮させてでも果たさなければならないものとはなっていない。道義的な義務と解釈するのが妥当なものであるように思う。
ところで、生活保護受給者のところには定期的に生保のケースワーカーが訪問し生活状況を摑んだりする事が課せられている。生保受給時に家族関係を調べて、息子が売れない芸人である事くらいは摑んでいたはず。生保のケースワーカーはその後息子がブレイクした事に気付いていなかったのかねというのがわたしの疑問。生保のケースワーカーが受給者増加に見あって増員されているわけではなく、そのために受給者の現状をきちんと摑めなくなっているという現実が指摘されている。国会議員が国会質問するなら、政府や地方自治体の不行き届きであるこういう事態について質問すべきだと思うのだが、国民ひとりの不行き届きをやり玉に挙げているところにとても作為的なものを感じる。
追記:TVのニュースをみていると、生保ワーカーと相談しながら援助を開始していたさなかに問題になった様子。となれば、件の芸人氏は別に不正に受給すべく策を弄したわけでも何でもなく、単に保護の廃止が遅かっただけではないのかと思えてくる。
朝から長男は運動会。勇んで出かけていき、わたしたちは見物に回る。汗ばむほどの陽気で小学校となりの商店はだいぶ飲料の売り上げがあった様子。
ダンスに徒競走、団体競技の玉入れとそれぞれ無難にこなしていたけれど....親を見つけると演技中でもにこにこして注意が演技からそれるのはなんとかならんかと。
より高度な医療を 特定看護師誕生に期待って記事を見つけたんだが、なんとなくミスリード感が。
特定看護師によって医療が「より高度になる」って期待は記事中で全く触れられていない。看護師がより病態把握を深くし、それによってより迅速な判断・的確な対応ができるようになるのではということは期待されているのだけれども。
特定看護師によってもたらされる可能性があるのは、医療の質の平均値の向上、もしくは最低値の向上だろうと思っている。トップのところはやはり医師によって引き上げられるものだろうし、そこで定式化・確立されたものを他の医師や特定看護師が学んで現場で活用していく事になる。そう思うと、特定看護師に「より高度な医療を」という期待はやはり間違ったものではないかと思うのだが。
相方の地元からご両親と義妹と甥が上京。到着して昼飯喰って、まずはサマーランドにご案内。とっても久しぶりと記憶しているのだが、波のプールにすべり台とそれなりに充実していて。夏本番となれば屋外プールも開くので乞うご期待というところか。
もともと長男の振替休日に伴って休みを取っていたのだが、それを使ってお出かけ第二弾。調布航空宇宙センターと国立天文台三鷹キャンパスへ。甥っ子も宇宙兄弟見ているというので、それなら...と選んでみた次第。
調布は主に航法や有翼機の展示が多かったけれど個人的には楽しめた。天文台は歴史的な建物・測定用具が多数展示されておりこれも楽しい。時間を忘れられる一時だった。
展示の中で一戸直蔵という人物が紹介されており、明治の時代に国外に天文台を作る事を主張して受け入れられなかった人との注釈がついていた。その考えはやがてすばる望遠鏡に結実するのだろうと思うと、時代が追いつけなかった人物なのだろうかと思った。
生活保護制度に関する冷静な報道と議論を求める緊急声明。生活保護の人は患者さんを中心に知り合いは少なくない。ネットでの発言を見ていると(特に匿名掲示板系を中心に)生保貰ってる奴は楽でいいみたいな議論が幅を利かせている感じなのだが、実際に貰える額をみる限り、そんな楽なものではないと思われる。医療扶助という形で医療費は出るもののあくまで現物支給だし、一日食費416円で生活していたら、贅沢と言われてフルボッコでの計算を見る限り、大人ひとり子ども三人で食費が5万円とか。高校出すのやっととか大学行くには自力で行かなきゃとか。自分一人がただ生きて死ぬだけならともかく、それ以外のことをする余裕はない。
それとも、「ただ生きてられればいい」それだけの事が希望であるほどに、いまの世は絶望に満ちているのだろうか。
風邪薬で副作用死:皮膚疾患が悪化 2年半で131人死亡って見出しを見てもうどうしてくれようかと。
SJSは風邪薬に限らず多種多様な薬剤で起こしえるし、事前に発症を予知できない。薬剤アレルギーの一種といっていいが、問題になった薬剤を中止した上で、保存的に治療するしかない。わたしが過去対応したSJSはそうと気付くまでにしばらく時間を要してしまい、記事で触れているように診断は遅くなった。
ところで、だ。この病気は別に風邪薬に限らず多様な薬剤で起こすし、使用頻度からしたらごくわずかなものだ。それをあえて風邪薬に限定した見出しにしているところにミスリードの危険を感じる。多分調査の期間に日本全国で処方されたもの・市販薬として購入したものを合わせれば何千万人という人が副作用の中にSJSが記載されている薬を飲んでいるし、基礎に皮膚疾患がない人が多数含まれている筈。「皮膚疾患が悪化」と書くと普通は基礎に皮膚疾患があり、それが悪化したととらえると思う。ここがミスリードの二点目。とりあえず記事書いた記者の日本語検定をきちんと行うべきかと思いますな。
夜透析まで病院に残り、その後病棟の歓送迎会。結局新入職の新人とはお話しする余裕がなかった....。
夜は当直。学童保育指導員という人が受診してて、よもやウチの息子のところの先生ではないだろうな...とか思いながら診察していた。