デーテーペーな1日

7月7日(Sun)
 何かしら、自らの愚かしさを証明するために人を傷つける事があった。生きる目的を見失ったまま・・・そんなモノを求めていたとは、我ながら信じがたい気がするが、そのころの私には切実な問題に思えていた。かといって、死すべき確固たる意義も見いだせず、出口の見えない袋小路を、当てもなくさまよう時代があった。

深い霧のなかで・夜 [PART 1]

 なぜ彼女が私を誘ったのか・・・後になってその事を聞いたことはなかった。
 意味もなくさまよう場末の街で、街角に立つ男に私は誘われる。ミラーボールがまわる店内にはアルコールと脂粉、そして男達の欲望と女の打算の匂いが色濃く漂っていた。閉店間際の店内に迷い込んだ私を、何人かの女が取り囲こむ。私の隣りに座った女・・・女性の年令を推理することは難しい。かなり年上であることは分かる。こんな遅い時間に店に入ることは馬鹿げていると言いながら、それでもボーイにテキパキとオーダーを告げる。何やら決められたモノを注文する必要があるらしい。注文を終えると、私に踊ろうと言う。私が踊ったことがないと言っても彼女は容赦せず、無理矢理ホールに連れ出した。
 左手を合わせ、右手で彼女の腰のあたりに触れる。まわりを見渡して、何となく体を動かす。腰からヒップにかけての豊かな肉感と密着させる彼女の身体に、私は勃起していた。私を見上げていたずらっぽく笑うと、いっそう密着させた太股の内側で私を刺激する。
 店内が暗くなって、音楽がよりいっそう扇情的になり、まわりの男女は抱き合ったまま、ゆらゆらと上体を揺らしている。
 彼女がKissをせがんだ。女性からKissを求められて戸惑うほど"うぶ"ではなかったはずだが、彼女と出会ったのが15分前だということが頭をかすめる。しかし、そんな想いとは裏腹に、彼女の腰を引き寄せると、深く舌をからめる。
 結局、テーブルに並んだビールと何品かの料理に手を付ける間もなく、閉店だと告げられる。出口に続く階段まで見送った彼女が、近くの喫茶店で待っていて欲しいという。その店の勘定でほとんど所持金の全てを使い果たした事を告げるが、彼女は大丈夫だからと笑う。
 指定された喫茶店には、人目でそれと分かる待ち合わせの男女で溢れていた。煙草の煙の向こう側、ひそひそ声で話す男女。傍若無人に嬌声をあげる何人かの女に囲まれた男達。居心地の悪い気分のまま、私は窓の外を眺めていた。
 ひとりでやってきた彼女は伝票を持ってレジに向かった。振り返って、例のいたずらっぽい笑顔で私を見返し、ひどく子供っぽいしぐさで私の腕につかまって歩き始める。

 例の6.30事件からいらっしゃった、私の日記が初めてという日記リンクスからの読者の方・・・期待はずれで申し訳ありません。何やら意味不明な告白体の日記=ここの処、こんな日記に執着しています。フィクションともノンフィクションとも付かぬ文章で、読者の過去の記憶を刺激することに密かな楽しみを見いだしております。さて、意味深長な処で終わってしまった本日の日記、明日に続くのでしょうか?

 七夕の夜にこんなメッセージを書いてしまう事は、やはり私の愚かしさの証明なのでしょう。1年に1度の密かな逢瀬に免じて許して頂ければと、これも愚かな考えです。

さて、

 何やらトラブルに見舞われているらしいあなた・・・なんの手助けもできない自分自身の無力さを痛感しています。こんな形でしか、あなたに呼びかけることのできない臆病な私。しかし、私はあなたの強さを信じています。毅然として事にあたることが、やはり最善の方法なのでしょう。どうか悪意ある挑発に乗ることなく、自らを信じて強く生きて下さい。
 あなたの心を乱すことは私の本意ではありません。どうか、来年の七夕の夜も、電子の海のなかであなたと密かにお会いできればと、ただそれだけを、強く願っています。



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