性懲りもなく始めてしまった私小説的日記。セクシャルで無頼な、そんな幼い頃のお話・・・落ちきることのできない臆病者は、うわべをなぞるだけの、怠惰な暮らしにのめり込んでいた。例によってどこまでが真実で、何がフィクションなのか、ことさらに曖昧なままでいることがなにかと好都合なようです。ひょっとすると、あなたの人生なのかもしれません。そんな愚かな過去をくり返すためのバックナンバーはこちら。 店の前から乗ったタクシーのなかで、彼女が映画を見ましょうと囁いた。アルコールの匂いと一緒に、ほんの微かな香水の香り。店の中のドレスとは違って、とても質素な白いワンピースに、とも色の小さなバックを持った彼女は、最初の印象とは違い、私とそれほど変わらない年令に見えた。 週末の映画街は明け方まで上映する映画を目当てにした人々で賑わっていた。道なれた彼女が私の腕をつかんで足早に歩く。小さな窓口から無愛想に突き返されたチケットをつかむと、小走りで彼女は階段を下りる。そのまま、まっすぐ売店に向かうとジュースとポップコーンをそれぞれふたつ・・・ひとつを私に手渡すと、肩でドアを押し、偽りの光と闇の世界を開く。 フランス映画だった。黒い皮のつなぎのジッパーを口にくわえて脱がす男のセクシュアルなまなざしと、男との逢瀬のために疾走するオートバイにまたがっる女。性的な寓話を切り裂く黒いオートバイの咆吼が悲劇を予感させる。 彼女の目当てはそれだけだったのか、その映画が終わると、私を促して外にでた。あらかじめ決められていたように、彼女と私はそのままホテルの一室に入った。 全身が"おんな"だった。 雪国育ちだと言う白い肌は自らの欲望に正直だった。子供を生んだ経験があるのか?どこを押してもやわらかな弾力を返す身体だった。私の腕のなかで溶けていく彼女の肉体と精神。薄く汗ばんだ肌・・・上気したうなじに口づけると、私を抱いた彼女の腕に力が入る。少女のそれのように淡いピンクの乳首を口に含む。彼女にとって、そこは一番敏感な部分のようだった。今夜は終始リードしていたはずの彼女が、私の下であえいでいる。 いつものように、私の頭の中のどこかで目覚めはじめた"声"が、私をあざけっている。こんな事をするのがお前の望みなのか?お前の求めているものは、在ったのか?なにかの幻とSEXしているのではないのか?・・・はたしてあの声は私自身なのか?愚かな妄想と自問しながら、私の欲望は彼女のなかで満ちていき、ひときわ高くあげる声と共に、放出される。 明け方にやっと眠ったふたりは、夕方にホテルを出ると、そのまま彼女の店に向かった。まだ客がひとりもいない店内・・・バンドもメンバー全員が揃わない、何やら開店前の気怠い雰囲気を引きずったままの店のフロアで、私はぼんやりと彼女の来るのを待っている。 そのまま閉店までその店にいた私は、再び彼女とタクシーに乗り、昨夜とは違うホテルで、またSEXをする。 あくる日も、あぁ、仕事はどうするのかなぁと、頭の片隅で考えながら、やはり彼女を抱いていた。 ますます、意味不明な日記・・・ただただ、日々に記するモノと言う以外にないのでしょう。なぜこんなエロ小説まがいのストーリが続いてしまうのか?私にも意味不明の暗い情熱がそうさせてしまうとしか、言い様がありません。あらゆる面で開かれた、書くものと読むものの距離の近い、Web上での文章であるが故に、逆に読者を限定したいのかもしれません。 深夜、モニターの前でひとり、私の日記を読んで辛い過去を思い出して自閉するあなた。差し迫ったトラブルに押しつぶされながら、密かに恋人を呼んで己の欲望を満たすあなた。眠れぬ夜、孤独な魂の重みに絶えきれず、そっと誰かの名前を呼んでみたことのあるあなた。・・・同士的友情と連帯がそこに生まれているのかもしれません。
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