本日、自閉しなければならない特別の理由もないので、純粋にネタとしてお楽しみください。 さて・・・余りにも"えぐい"タイトル、愚かなセンセーショナリズムの匂いもします。昨今の日記界に対する"比喩"と誤解する方もいるかもしれませんが、他意はありません。小さい頃からの僕の嗜好についてのお話しです。 あれは僕がまだ小学校入学前、5才ぐらいの事だと思います。母親と祖母に連れられて向かったのは、汽車とバスを乗り継ぎ、途中で漁船のような連絡船に揺られてやっとついたと思ったら、そこから更に山道を延々歩きつづける山間の村。 もうすっかり暮れてしまった夜の山道を懐中電灯を頼りに歩いていると、いきなり立派な土蔵が現れた。何やらザワザワとした人の気配があり、大きな門構えの入口には提灯がふたつたてられて、どうやら葬式らしい。そこが目的地だった。もちろん、5才の僕に確かな認識があるはずもなく、後で母親に問いただしてその事を確かめたにすぎない。ただ、印象的なシーンがいくつもあって、その後、何度も僕は夢でうなされることになる。 その当時、その地方では土葬が普通だった。 畳の上に置かれた座棺と、その中にまるでミイラのように干からびた、小さな老婆の死体が納められていた。匂い消しの為か、大量に入れられた茶がらに埋まった老婆・・・長患いの果ての死だったのか、褐色の肌と乾いた皮膚に腐臭はなかった。床の間を背にして置かれた座棺のフタをそっと元に戻すと、僕は同年代の子供と遊ぶために離れに向かった。 翌日の葬儀についてはなにも覚えていない。ただ、山の斜面に広がった墓地での埋葬の様子は、今でも鮮明な記憶の中にある。男達が目の前で土葬のために穴を掘っている。表面の赤茶けた土の下には、黒く湿った土がある。掘り進むうちにいろいろなモノがでてくる。腐った木片、何やら絡まりあった木の根の様なモノ、時代劇でしか見たことのないキセル入れと煙草入れ、どう見ても髪の毛と思えるモノもあった。そして、茶褐色の大腿骨。誰も注意を払うものはいない。傍らに無造作に積み上げられ、直ぐに黒い土に覆われて見えなくなる。そんな様子をうずくまって見ている僕に注意を向ける大人はどこにもいない。積み上げられた土の中から、小さな骨を見つけた。数センチのすべすべした立方体。どうやら指の骨のようだ。そっとその骨を拾い上げると、僕は注意深くポケットに忍ばせた。 翌日、自宅に帰った僕は、その骨を流しでよく洗うと、大切な宝物箱の中の特別な場所に、そっとそれを仕舞った。 小学校の3階の廊下の端に理科の教材や実験器具を納める倉庫のような部屋があった。当番だった僕はその部屋に試験管を取りにいく。雑然とした埃っぽい部屋にはスチール製の棚が何台か並び、黄ばんだ段ボール箱やガラスの実験器具などが雑然と置かれていた。その部屋の奥にさらに引き戸があり、普段は大きな南京錠が下がっているのだが、その日に限って錠がなかった。担当教師が鍵をかけるのを忘れたらしい。 その小部屋は、僕たち小学生にはまさに伝説の部屋だった。その部屋を巡ってのさまざまな"うわさ"・・・上級生から代々伝わる目撃談や恐怖のストーリー。何度も夢の中でその部屋の扉が開き、恐ろしい姿の怪物が飛び出す夢にうなされていた僕は、締め付けられるような恐怖と、どうしてもその部屋の中を覗いてみたい欲求の間で翻弄されていた。 おずおずとその前にたった僕は、そっと扉に手を掛ける。 長くなりそうなので、続きは明日。
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