何を話していいのか分からないまま、立ち去ることも出来ずにいる私をみて、あなたが笑った。それじゃ、と言われてすれ違ったあなたと肩先が触れるが、もはやあなたは振り返ることはなかった。 とても贅沢なワインだから、今夜のために開けましょう。 そう言われてコルク抜きを渡されるが、当時も今も私にワインの良し悪しが分かるはずもなかった。 もったいないから良いです。 私の口調の中の子供っぽい反発を無視して、テーブルの上のワインを直接私の手に載せた。 訳も聞かされず呼び出され、いつものようにSEXする。 しかし、彼女の様子にいつもとは違うモノが有った。彼女の上に重なろうとすると、そっと身体を入れ替えて、私の胸元に唇を添える。そのまま身体をずらすと、私の欲望の中心を口に含む。何時もなら、じらせながらも結局は自分自身の楽しみに没頭するはずの彼女が、その日に限って僕を離すことがなかった。狡猾で執拗な愛撫に耐えきれなくなった僕の欲望は、彼女の口の中でふくれあがり、そのままどっと溢れる。 裸のまま浴室でシャワーを浴び、口をゆすぐ彼女に、ふとやり切れないものを感じた。SEXが日常と同居することの耐え難さは、何度も経験していた。こうしてお互いの部屋で抱き合うことが、とてもビジネスライクに思えてうんざりする。 結婚し、同じ相手と同じ部屋でSEXし、その同じ部屋で食事すること・・・アパートのドアを開け、出勤途中のおとなりさんと挨拶を交わす。こいつも、昨夜はあの女房とSEXしていたのか?駅の階段を疲れた足どりで上がるあの男も女も、それぞれのささやかな快感に小さく声をあげたのか? 彼女が話す特別な日とは、他ならぬ私達の関係の清算についてだった。事務所の社長と結婚するという。人一倍、大人びたフリをすることの好きだった私は、それはいいことかも知れないと、何気なく答えることはできた。傷ついていなかったといえば嘘になる。素直には感情を面に出せないガキの精いっぱいの虚勢だった。気の利いたフレーズで祝福できればと思いながら、結局何も言えなかった。 玄関先まで送りながら、事務所は辞めないでね、と言われるが、そこまで自分を押さえられる自信は当時の私にはなかった。結局私が辞めることになるのだろう。彼女もそうして欲しいのだと言うことにやっと気づいた私は、ベランダから私を見送っている彼女を決して振り返ることはなかった。 あなたによく似た面影のセーラー服の少女の胸に付いた名札が旧姓のままであることに、ふと胸を突かれる思いがありました。力無く笑ったあなたの横顔に、わたしが何かしら感傷的な気分になることは、あなたにはとても失礼なことなのでしょう。お互いの人生が重なることなく静かに別れていったことの意味をもう一度考えてみるかも知れません。何かしら、あなたとの記憶がとても貴重に思えることが、私にとっての救いなのでしょう。 出来すぎた結末のような気がします。ハーレクインロマンス?読んだことはありませんが、ひょっとするとそうなのかも・・・実生活にそれほど劇的な日常が待っている訳もなく、つまらない偶然もまたよくある話なのです。 さて、本日のSEXネタ、どのようにコメントするのか?いささか興味があったりします。全ての日記ににコメント付けようとするから、こういう不得意ネタに困惑することになるのでしょう。 ◆01/21~31◆02/01~15◆02/16~29◆03/01~15◆03/16~31◆04/01~15◆ ◆04/16~30◆05/01~15◆05/16~31◆06/01~15◆06/16~30◆07/01~15◆ ◆07/16~31◆ |