ケンタッキーのフライドチキンのコマーシャルを見るたびに思う事があります。 何やら緑深い田園地帯の契約農場で飼育されているという、ケンタッキー専用の鶏(にわとり)・・・ナチュラル志向に合わせて、ハーブで育てたハーブ鶏とか<あまりに直截なネーミングに、その事を裏返せば化学飼料で育てれば、やっぱり化学飼料鶏と呼ぶのでしょうね。 毎日何万羽が消費されているのか分かりませんが、そのハーブ鶏の飼育ゲージが見てみたいのです。しかし、コマーシャルでは肝心の鶏の姿もその飼育ケージも決して出てくることはなかったような気がします。生きて動いているにわとりと、シズル感いっぱいに撮影されたフライドチキンをオーバーラップさせることは、何かの禁忌に触れるのかもしれません。 以前どこかで見たにわとりの飼育ケージとは・・・窓のない、まるで巨大な冷凍倉庫か精密機械工場の様な明るい外観とは裏腹に、その内部は彼らの成長には不必要として照明もない、昼も夜も真っ暗のままの巨大な洞窟のようでした。身動き取れない程の密度で飼育され、抗生物質と中国から輸入した屑ハーブの混入した飼料を食べて、ひたすら蛋白質製造マシーンと化したにわとり達の姿は、テレビコマーシャルの題材としては確かに不適切すぎるでしょう。そうなのです、飼育される家畜達は、もはや生物というよりも、穀物を原材料にして蛋白質を生産するための生きた機械のようなモノです。したがって、そこで問題になるのは機械としての効率性・生産性でしかなく、純粋に資本の論理によって飼育され続けているのでしょう。恐らくベルトコンベアーによって屠殺されているだろうにわとり達の断末魔など、決してコマーシャルから予感させてはいけないのです。どこか知らないところで"ポン"と生み出された鳥肉が、カーネル・サンダースご自慢の調理器具から次々と生み出されていくイメージが重要なのです。 しかし、僕の考えるものは少し違っています。無機質で衛生的な工場・・・無数のにわとりの頭がすべすべとしたステンレス製のベルトコンベアーを次々とすべり落ちていき、パケットの上にうずたかく積み上げられる・・・デビット・リンチあたりにケンタッキーのコマーシャル撮らせれば、そんなシーンが必ずありそう。そして、指を油まみれにしながら鶏肉をむさぼるように食べるのは、やはりカイル・マクラクランですね。 だから、あの油まみれのフライドチキンを食べるたびに、いつも胸やけと後悔にさいなまれることになるのでしょう。因みに、うちの子ども、ケンタッキーのフライドチキン食べすぎて、店内で思いっきりゲロ吐いたことあります。
◆01/21~31◆02/01~15◆02/16~29◆03/01~15◆03/16~31◆04/01~15◆ ◆04/16~30◆05/01~15◆05/16~31◆06/01~15◆06/16~30◆07/01~15◆ ◆07/16~31◆08/01~15◆ |