デーテーペーな1日

6月27日(Thu)
いつまで続くのか・・・今日初めて僕の日記に立ち寄られた方、告白とも小説ともつかぬ意味不明の文章を理解する為には、まずこちらから。



14才の冬、人を愛することの絶望

 今となっては愚かしい、意味のない絶望と焦燥感の中で僕は深く自閉していた。両親を含めたまわりの大人達に迎合し、いつも良い子であることを演じ続ける己にうんざりしていたのだ。
 目的を見失い、一日中部屋に閉じこもって、暗い虚構の世界に溺れる。大人びたフリをして、よく分からぬまま読んでいた哲学書や純文学系の小説から、猥雑で好色な月刊の小説誌やペーパーバックに類するモノをひたすら一日中読みふけり、男と女の絡み合うシーンでオナニーを繰り返す。
 ほとんど学校にでることもなくなっていた。突然変わってしまった我が子にうろたえる母は、どうする事もできず、家を訪れた教師と共に僕を責める。逃げ場を失った僕は、結局一言も答えることなく外に逃げだした。

 表には彼女がいた。

 紺色のコートの下には柔らかそうな綿毛のアンゴラの白いセータ。黒いスカートからのびた素足が寒さでこごえていたが、僕を見返した彼女の笑顔はとても温かだった。
 屋上での事があってから、僕は彼女を避けるようになっていた。これ以上二人きりで会えば、必ず彼女を傷つけてしまう・・・いや、愚かなきれいごとで自分をごまかすのは止めよう。僕には、彼女のひたむきさを受け入れるだけの勇気と誠意がなかっただけだった。彼女の肉の快感だけを求めていた。自分自身の裡にある、醜い欲望に自制することのできない僕は、毎夜彼女の姿態を思い浮かべながら、彼女の記憶を汚していた。

 まるで何事もなかったかのような彼女の笑顔に、僕は救われる。これ迄にも、何度も僕が出てくるのを待っていたことがあったらしい。電話すればよかったのにと言いながら、冬の夕暮れにあてもなく人を待つのもスキと答える彼女に、僕は黙って冷たく凍えた手を握るしかなかった。彼女と会うことで、僕はいつも癒されてきた。
 何日も学校に来ないことや、久しぶりで学校であってもなにも話さず、黙って帰っていく僕に、いったい何があったのかととても心配そうに尋ねた。
 彼女に僕の愚かな欲望と無意味な生活について言えるわけもなかった。辛抱強く僕に話しかける彼女が、自分の部屋に誘った。両親は出かけて彼女ひとりだという。彼女の部屋にふたりで行けばどうなるのか、彼女自身がよく知っていたようだ。
 僕にはよく分からない。彼女を抱きたいのか?彼女を汚したいのか?それとも傷つけたいのか?彼女を愛しているという実感のないことが、とても辛い。醜い欲望だけがふくらんでいく。
 何故そうしたのか?もう、忘れてしまったことにしよう。僕は彼女の部屋へ行った。

 もう話すことは何もなかった。

 白いアンゴラのセーターの下は素肌だった。小さな胸を締め付けている下着の色も白。背中に回した指で金具を外す。寒さと不安で血の気の引いた彼女の小さな乳房・・・蒼く透けて見える静脈とやわらかな蕾。
 彼女の両手が、僕を抱こうかどうしようか迷っている。その手を取ると、まるでキリストの磔刑の様にベットに押さえつける。欲望に濁った僕の頭の中で、何やら残酷な叫び声が聞こえていた。
 彼女の中に入っていくとき、痛みに眉をしかめても、決して僕を拒絶することはなかった。
 彼女の中で欲望に満たされながら、やはり僕には分からない。なぜ僕たちは、こんな形でしか愛情を確かめることが出来ないのだろう?未熟な男が、女を押し破る事で成立するSEXを求める限り、いつも傷つくのは女なのかも知れない。
 彼女の涙の意味が、僕にはとても辛い。

 訳もなく思い出した過去の細部にこだわるあまり、際限のない自閉感にとらわれることは、例によって僕の愚かしさの証明なのでしょう。いくら書いても辛い記憶が変わる筈もなかった。かすかな贖罪のひとつになりそうな予感がしたのだが、過去を正当化し自己弁護する結果になっていないかが気がかりです。最近の僕の日記・・・重苦しい妄想の中でもがく事が多すぎます。もう少し軽い話題に立ち戻ろうとして、結局こんな日記を書いてしまうのは誰のせいでもなく、やはり僕自身の問題なのでしょう。明日の日記どうしよう・・・


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