デーテーペーな1日

日記猿人関係の発言はこちらで。
9月6日(Fri)
孤独な少女と孤独な記憶(5)
孤独な少女と孤独な記憶(1)
孤独な少女と孤独な記憶(2)
孤独な少女と孤独な記憶(3)
孤独な少女と孤独な記憶(4)

 まるで、僕は彼女を相手にゲームをやっている気分だった・・・彼女の裡に作られたマゾヒスティックな願望の強さはほとんど万年雪のように厚く彼女の心を覆い、容易に解けることはなかった。僕は彼女をこれ以上肉体的にも精神的にも傷つけることを恐れていた。挑みかかるような彼女とのSEXは、僕もまた、彼女と同様に血を流すことを強要された。ほんの少し伸ばしただけの彼女の爪が僕の背中を何度も往復するたびに、赤く跡を残した。強く、跡が付くように噛むことを望む彼女の喘ぎに、僕の理性も愚かに吹き飛ぶ。獣の体臭に満ちた部屋には、いつも微かな血の臭いもしていた。
 僕は、そんな彼女とのSEXに、彼女の孤独の深さと絶望の身近なことを感じ続けていた。しかし、何故そうなのか?彼女の性癖の裏側に見える"男"の存在について、決して尋ねることはなかった。孤独の裏に潜む残酷な予感を恐れていたのかもしれない。

 「してる時って・・・とても苦しいのにさらに深く潜ろうとする酸素不足のダイバーみたいな気分なの。全身をつつむ海水中の酸素を必死に呼吸しようとして、ごぼごぼと肺に流れ込む海水に溺れている両生類の子孫てとこかも。」

 君の比喩にはときどきひどく実感のこもるときがある。まるで、君の肉体自身があげる言葉のように思えるときに・・・

 僕が新聞部に出入りするのやめると同時のように、彼女が入部してきた。学校での彼女は、昂然と顎をあげて挑戦的に相手の目をみたままで話す、理性的で美しい存在だった。生徒集会でも積極的に発言を求め、参加者達の不明を激しく糾弾する。
 新聞部での論争にも、容赦のない追求で上級生達の甘えた論理を一喝するだけの、したたかさと柔軟性を持っていた。つまり、虎のような女だった。美しいが危険すぎて、愛でるには射殺して敷物にするしかない危険な生きもの、という訳だ。勿論、僕もそんな彼女の批判の矢面に立たされた。他を省みることのない怠惰な性格と、僕のシニシズムについて。
 彼女は何かしら今までとは違った結論と諦念にたどり着いたのかもしれない。何故そうなったのかが分からないまま、僕は彼女を避けるだけの弱々しい"オス"であり続けていた。

 昨日で終わろうと思ったはずなのに、何故か本日も連載日記です。勿論、オチが必要なわけではないのでいつ終わっても良いのでしょう。ただし、個人的な過去の記憶には「おわり」は有り得ないのでしょう。


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